日本が「小さな政府」であることの実情をさぐる

↑ 大きな政府では厚い加護も期待できるが負担も大きい。諸国はどちらなのか。(写真:アフロ)

・日本やアメリカ合衆国、オーストラリア、スイス、韓国などは「小さな政府」。

・欧州諸国、特に北欧諸国では比較的歳入・歳出が大きくなり「大きな政府」となりやすい。

・欧州諸国以外では歳入・歳出が小さくなり「小さな政府」となりやすい。

日本は対GDP比において一般政府(中央政府だけでなく地方政府や公的な社会保障基金を合わせた公的機関の総体)の社会への関与が他国と比べると相対的に少なく、いわゆる「小さな政府」状態にある。それを歳入・歳出の観点から確認する。

今回用いる手法はOECD加盟国の一般政府における歳入と歳出の対GDP比を併せて散布図の形で示し、その位置づけとして日本がどのような場所にあるかを確認するもの。歳出・歳入の対GDP比はOECD(経済協力開発機構)のデータベースOECD.Stat内Economic Outlookから取得した。歳出はTotal disbursements, general government, as a percentage of GDP(一般政府の総支出、対GDP比)、歳入はTotal receipts general government, as a percentage(一般政府の総収入、対GDP比)。なおこの歳入には租税以外に社会保障負担も含まれるが、国債発行による「借金」は該当しない。

実測値としての最新値は2016年分。OECD加盟国の中ではチリ、メキシコ、トルコの値がデータベース上には存在しないので、それらの国は除いてある。

縦軸に一般政府の歳入、横軸に歳出を取り、その実情を示したのが次のグラフ。いずれの国の歳入・歳出ともに20%は超えているため、縦横双方の軸の最低値は20%にしてある(0%にすると体裁が悪くなる)。

↑ 一般政府の歳入・歳出の対GDP比(2016年)
↑ 一般政府の歳入・歳出の対GDP比(2016年)

多少のばらつきはあるものの、歳入と歳出の間には大きな開きが生じないため、45度の角度で形成される線の周辺に各国の値が配されることになる。またこの線上で右上に行くほどその国のGDPに対して一般政府の規模が大きい(歳入・歳出規模が大きい)、左下にいくほど一般政府の規模が小さい(歳入・歳出規模が小さい)ことになる。

アイルランドが極端に低い値を示しているが、それを除くと日本やアメリカ合衆国、オーストラリア、スイス、韓国などは「小さな政府」の部類に属していることが分かる。他方、アイスランドやノルウェー、フィンランド、フランス、デンマークなどは「大きな政府」に該当すると見ることができる。

傾向としては欧州、特に北欧諸国では比較的歳入・歳出が大きく「大きな政府」となりやすい。それ以外では比較的「小さな政府」になりやすい傾向がある。これは政府にかける期待や存在意義の認識が文化的に異なり、結果として徴収される、使われるリソースが異なる実情が、数字となって表れているのだろう。

欧州では一般政府が手厚く保護をするが、そのために必要な対価は十分に徴収する、それ以外の国では一般政府は限定的な保護を行うものの、徴収する対価も相応なものに留まるという次第ではある。

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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。