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「政治や社会の不正追及」など新聞が自認する責務はどれだけ果たされていると思われているのか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 新聞は社会の木鐸を自称しているが、世間一般からの認識は…?!(ペイレスイメージズ/アフロ)

・新聞は「政治や社会の不正追及」をしていると感じている人は39.6%。

・新聞は「政府への監視の役割」を果たしていると感じている人は28.9%。

・新聞は「国民の声を政治に反映させるのに役立っている」と感じている人は28.7%。

新聞は社会の木鐸を自称しているが、世間一般からはどのように認識されているのだろうか。その実情を新聞通信調査会が2018年1月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)から確認する。

新聞には報道機関としての一翼を担い、多種多様な責務・存在意義があるとされている(それが正しいか否かはまた別の問題であり、今件では取り上げない)。政治や社会の不正追及、政治に対する客観的な視点、国民の声の政治への反映の後押し、公明正大な姿勢などなど。そこで今回は、今調査結果で公開されている3要素「政治や社会の不正追及」「政府の監視の役割」「国民の声を政治に反映させるのに有益・貢献」について、属性別でどのように思われているかを確認する。

設問では提示された内容に「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらとも言えない」「どちらかと言えばそうは思わない」「そうは思わない」の中から1つを選んでもらい(+「無回答」が生じる)、そのうち前者2つ(肯定層)と、後者2つ(否定層)の値をカウントしたもの。なお属性全体の回答傾向を確認すると、半数前後が「どちらとも言えない」の回答で占められているため、突出した値が出にくい形となっている。

まずは「政治や社会の不正追及」。

↑ 新聞は政治や社会の不正を追及している(2017年度、属性別)
↑ 新聞は政治や社会の不正を追及している(2017年度、属性別)

4割近くの人が肯定、否定層は1割強。男性の方が新聞の不正追及を信じている人が多い。年齢階層別では未成年者が肯定層でいくぶん高い値を示しているが、成人に達すると値は下がる。40代までは不信感の強さが継続し、50代以後否定層が減り、40代以降から肯定層が増える。元々新聞などが全盛だった時代を生きて来たからなのか、それとも他メディアへの関心が薄いからなのかまでは今件調査からのみでは分からないが、高齢層は新聞に対する政治・社会への不正追及を強く信じていることになる。

続いて「政府への監視の役割」。

↑ 新聞は政府を監視する役割を果たしている(2017年度、属性別)
↑ 新聞は政府を監視する役割を果たしている(2017年度、属性別)

政府への監視の役割は、最初の「政治や社会の不正追及」と比べ、肯定層が少なく、否定層が多い。それでも全体では肯定派の方が多いが、差は7.5%ポイントでしかない。

男女別、年齢階層別の傾向も似たようなものだが、差が元々開いていないこともあり、未成年者から40代までは否定層の方が高い結果が出ている。つまり若年層から中堅層は新聞に対し「政府の監視役割があると自称しているが、その役割は果たしていない」と見定めていることになる。ただしこれが「政府に迎合している」「政府に反発している(監視を超える活動をしている)」いずれか、さらにはそれ以外の意味を有するかまでは今項目では判断ができない。一方シニア層になると「新聞はしっかりと政府の監視役を果たしている」との意見が多数を占めている。

最後は「国民の声を政治に反映させるのに役立っている」。ここで言及されている「国民」とは無論日本国民であり、老若男女を問わず全体としての声を意味するが、昨今では一部界隈のみの声を反映するとの指摘も見受けられるように、揺らぎを見せる概念、社会的意義ではある。

↑ 新聞は国民の声を政治に反映させるのに役立っている(2017年度、属性別)
↑ 新聞は国民の声を政治に反映させるのに役立っている(2017年度、属性別)

全体では肯定層が3割近く、否定層が2割強で肯定層が優勢。男女別では肯定・否定ともに男性の方が高く、明確な意思判断を下している(「どちらとも言えない」では無い)ことになる。

年齢階層別では30代までは否定層が多数となり、「政府を監視する役割を果たしている」と同様の動きを見せている。40代から50代でもほぼ同率、60代以降で肯定層が多くなり、70歳以上では圧倒的多数に及ぶ動きも同様。ここで言及されている「国民」は、回答者本人あるいは周辺が意識されていることを思い返せば、色々と納得のいく動向には違いない。

今回挙げられている志、責務が正しいものか否かは別の問題となる。さらに新聞を送り出す人たちが「正しい」と自認し、使命感を持って行っている内容そのものが、公明正大なものか、社会にとって益となるとは限らない。むしろ新聞(社、関係者)の持つ独自の理念を軸に据えた上でこれら大義名分を果たすため、結果として罪悪となる事例も皆無とは言えない。

今や新聞社は多数の人たちから、今件取り上げられたような「志、責務」の観点で追及されうる立場にもある。自らを見つめ直す謙虚さを忘れていては、手に持つ剣はさびていくばかりとなるに違いない。

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※メディアに関する世論調査

直近分となる第10回は2017年11月2日から11月21日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は3169人。有効回答者の属性は男性1526人・女性1643人、18~19歳63人・20代274人・30代422人・40代567人・50代504人・60代601人・70代以上738人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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