Yahoo!ニュース

NHKテレビが一番、新聞二番…メディアへの信頼度をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 新聞やテレビに寄せられる信頼の度合いは?(写真:アフロ)

・主要メディアの中ではNHKテレビへの信頼度が一番高い。次いで新聞、民放テレビ。

・年上になるほど各メディアへの信頼度も上昇するが、雑誌やインターネットは逆に下がる。

・経年ではいずれのメディアも信頼度を落としているが、直近年度ではインターネット以外は底打ちの雰囲気。

多様なメディアに囲まれた日常生活。各メディアからの情報を人々はどこまで信頼しているのか。主要メディアへの信頼度の実情を財団法人新聞通信調査会が2018年1月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)の報告書から確認する。

主要メディアとしてNHKテレビ、新聞、民放テレビ、ラジオ、インターネット、雑誌を提示し、それぞれのメディアの情報をどの程度信頼しているかについて、「全面的に信頼…100点」「全く信頼していない…0点」「普通…50点」の基準のもとに点数をつけてもらったところ、平均点がもっとも高かったのはNHKテレビで、70.0点となった。

↑ 各メディアの信頼度(2017年度)(100点満点)
↑ 各メディアの信頼度(2017年度)(100点満点)

同じテレビでも民放テレビは10点以上低い59.2点に留まっており、情報の信頼性における両者の違いを改めて実感させられる。そして新聞がNHKテレビに近い値68.7点をつけ、実情はともかく情報に関して信頼されているか否かの点では、新聞が今なお高い信頼を受けているのが分かる。

NHKテレビ、新聞、民放テレビの後にはラジオ、インターネット、雑誌と続くが、雑誌のみが唯一45.0点と50点未満。50点が「普通」の基準なので、雑誌は情報全般に関して信頼されていないことになる。

これを属性別に見たのが次のグラフ。大よそ順位に違いは無いが、各属性における特徴が表れる形となった。

↑ 各メディアの信頼度(2017年度)(100点満点)(属性別)
↑ 各メディアの信頼度(2017年度)(100点満点)(属性別)

年上になるほど各メディアへの信頼度も上昇するが、雑誌やインターネットは逆に下がる。そのため、テレビや新聞との差が大きく開くことになる。シニア層はテレビや新聞を信奉し、インターネットや雑誌を軽んじる傾向があることが複数の調査結果から知られているが、それが裏付けられる形となっている。

他方20代から30代はNHK・民放問わずテレビの値がいくぶん低めで、20代ではインターネットへの信頼度が高く、ラジオすら抜いている。注目に値すべき動きではある。

最後に経年別。今調査は2008年度から開始されているため、都合10回分の動向が確認できる。

↑ 各メディアの信頼度(100点満点)(経年動向)
↑ 各メディアの信頼度(100点満点)(経年動向)

震災が発生した2011年3月以降初となる調査は2011年度分(2011年9月実施)だが、その際のラジオの値が有意に上昇しており、震災報道でラジオが権威を回復したことが分かる。またNHKテレビも同様の動きを示している。他方民放テレビ、インターネット、雑誌は大きな下落が見受けられ、震災報道により信頼度を落としてしまっている。

中期的な動きを見ると、いずれのメディアも信頼度を漸減していているが、直近年度ではようやく底打ちを示したような雰囲気が見られる。ただしインターネットは大きな下落を見せており、一連の「フェイクニュース」報道がインターネットの責にあるとの印象が強かったことを思わせる動きではある。

他方、テレビや新聞はそれ自身が配信側の業界・集団的なモノを意味する一方で、インターネットは多分にツールでしか無く、「インターネット」との名前の配信社が存在するわけでは無い点に注意する必要がある。信頼性は多分に情報の発信元に関わる問題であり、新聞やテレビ、ラジオはほぼそのままイコールとなるが、インターネットや雑誌はツールとしての意味合いが強い。今件の信頼度のうちインターネットや雑誌は、玉石混淆な全体の状態を評価したものと考えられる。インターネットの情報すべてが信頼度の上で低いとの認識は、実態とはズレがあることを指摘しておく。ある特定の車種の自動車に大きな欠陥が見つかったとしても、自動車全体が欠陥品では無いのと同じである。

何しろ信頼度の高い新聞社やNHKテレビですら、それぞれの媒体で提供している内容と同じ情報を、インターネット経由でも配信しているのだから。

■関連記事:

「本震」から半年、緊急時のマスメディアへの信頼性はどのように変化したか

新聞一番テレビが二番…メディアへの信頼度、テレビと新聞の高さ継続

※メディアに関する世論調査

直近分となる第10回は2017年11月2日から11月21日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は3169人。有効回答者の属性は男性1526人・女性1643人、18~19歳63人・20代274人・30代422人・40代567人・50代504人・60代601人・70代以上738人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事