公立は中3、私立は小6がピーク…塾費用などの補助学習費をさぐる
・補助学習費は私立では小学6年生の53.9万円、公立では中学3年生の37.0万円が最高額。
・大よそ「私立の方が高く、公立の方が安い」だが中学生では私公立の差が縮まり逆転する学年も。
・中学3年生で私公立の額が逆転するのは公立の学習塾費が大きく伸びるため。
自分の子供の受験を無事クリアさせるために、多くの保護者は自分の子供を塾に通わせたり、家庭教師を雇っている。これらの費用は平均でどれほどのものなのだろうか。その実情を文部科学省が2017年12月に発表した「子供の学習費調査」の結果から確認する。
子供の学習にかかる費用は総じて「学習費(総額)」と呼ばれている。これは「学校教育費(授業料やPTA会費、制服、遠足代など)」「学校給食費」「学校外活動費(家庭内学習費や各種塾月謝、図書費など)」で構成されている。今回はこのうち最後の「学校外活動費」に含まれている「補助学習費」(学校外活動費=補助学習費+その他の学校外活動費)にスポットライトを当てていく。
「学校外活動費」の学年別推移だが、私立では小学生がピークで、公立では中学生の方が多少ながらも額が高めになる。
この「学校外活動費」のうち、「家庭内学習費(参考書や百科事典など)」「家庭教師費」「学習塾費」などで構成される「補助学習費」について、まずは全体の学年別推移を見ていくことにする。全般的には私立の方が高めとの結果が出ている。特に小学生の高学年では、私立の額が飛び抜けている。
一概に「私立の方が高く、公立の方が安い」では無い。特に中学生では公立・私立の差は縮まり、3年生に至っては逆転現象まで起きている。この逆転現象の理由が分かるのが、次に示す、詳細区分化した上での積み上げグラフ。私立・公立別に作っているが、縦軸は同じ水準で仕切りをしているので、長さでの単純比較が可能。
まず私立だが、小学校では高学年となるに連れて「学習塾費」が大きくふくらみ、これが「補助学習費」全体をかさ上げする要因となっている。さらに小学6年生では「家庭教師費など」も増え、節目となる50万円に届いてしまっている。
一方公立では私立のような小学生時のピークは無い。そして中学3年生では中学2年生時と比べて20万円近くの積上げがあり、高校までをも併せて最大額、さらには同学年の私立よりも大きな金額となる。
これは「高校受験のためには公立中学3年生は私立と比べ、学習塾で学校の学習内容を補完する必要性が高い、と多くの保護者が考えている」とすれば道理が通る。高校は中学までと違って義務教育課程から外れるため、公立の中学生を持つ保護者も、ここぞとばかりに気合いを入れるのだろう。また私立学校生における中学受験の難関が、公立学校生では高校受験で到来すると考えれば、納得もいく。
無論、家庭教師費用、学習塾費用を上乗せすれば、必ず思い通りの学校に合格するわけでは無い。しかしその確率を上げる、もっとも容易で分かりやすい手法には違いない。これらは子供よりもむしろ保護者たちの想いが反映されている数字なのかもしれない。
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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。