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新成人の7割近くは「経済的余裕が無くて車を所有できない」

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「若者の(自動)車離れ」というけれど…!?(ペイレスイメージズ/アフロ)

・「若者の車離れ」を自覚する新成人は37.3%。

・「経済的余裕が無くて車を所有できない」と自認する新成人は67.6%。

・「経済的余裕が無くて車を所有できない」の自認率は2011年以降大きな変化は無し。

「若者の(自動)車離れ」が叫ばれる昨今、その若者自身は車にどのような所感を抱いているのか。新成人の人達の意見をソニー損害保険が2018年1月に発表した調査報告書「2018年 新成人のカーライフ意識調査」(※)から確認する。

昨今の「若者の車離れ」と呼ばれている状況に対し、若者自身の代表的な立場となる新成人にいくつかの質問を実施。それぞれに「とてもあてはまる」「ややあてはまる」「どちらとも言えない」「あまりあてはまらない」「全くあてはまらない」の5つの選択肢から自分の心境にもっとも近いものを選んでもらい、そのうち前者2つ、つまり肯定派の回答数をまとめた結果が次のグラフ。例えば「若者の車離れ」とは自分のことの項目では全体で37.3%なので、4割近くの新成人は「とてもあてはまる」「ややあてはまる」のいずれかと答えている。掲載されている数字以外はすべて否定派では無く、「どちらとも言えない」も多分に含まれていることに注意。

↑ 「若者の車離れ」と呼ばれる状況についての意識(2018年新成人対象)(「当てはまる」派率)
↑ 「若者の車離れ」と呼ばれる状況についての意識(2018年新成人対象)(「当てはまる」派率)

新成人の限りでは「若者の車離れ」を自認している人は4割近く。微妙な値ではある。一方「車に興味がある」人は全体では4割強だが、男性の方が高めの値を示している。自動車への必然性が高い立場にあることを考えれば、興味を示すのも当然。

注目すべきは「車所有の経済的余裕が無い」。こちらは7割近くの同意率。購入時の初期投資コスト、各種維持費、そして車検代と定期的に多額の出費を求められるため、自動車の所有にはそれなりの経済的裏付けが求められる。その裏付け(に自信)が無い人が、新成人の7割近くもいる実態は、自動車関係者は大いに認識しておくべき。

一方、車そのものの魅力に関する話だが、「所有はカッコイイ」「メーカーに若者向けの車を作ってほしい」との話は5割前後に留まっている。カッコよさは男性よりも女性の方が認識していること、男性はメーカーに若年層向けの車を女性と比べれば強く求めていないなど、興味深い動きも確認できよう。

なお自動車所有関連で常に言及される、経済的余裕に関する視点においては、実のところは(少なくとも今調査項目の始まった2011年以降では)大きな変化は無い。

↑ 車所有の経済的余裕が無いと思う割合(当てはまる派合計)(各年新成人対象)
↑ 車所有の経済的余裕が無いと思う割合(当てはまる派合計)(各年新成人対象)

あえて言えばここ1、2年に限れば多少ながらも減っているように見える、ぐらいだろうか。

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※2018年 新成人のカーライフ意識調査

2017年11月30日から12月7日にかけて2018年の新成人男女に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。男女比は1対1。調査実施機関はネットエイジア。今件調査における「都市部」とは、市・区における人口ランキングの上位都市(1位から8位)である、北海道札幌市、東京都23区、神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市、福岡県福岡市。それ以外はすべて「地方」。過去の調査もほぼ同条件で実施されている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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