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「たばこ止めたいですか」喫煙者に聞いたところ…

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 喫煙者の中には禁煙をしたい人もいる。その実情は?(ペイレスイメージズ/アフロ)

・喫煙者のうち喫煙を止めたいと考えている人は男性25.4%、女性35.0%。

・禁煙、減煙希望者の比率は若年層ほど低い。

・禁煙中の人は男性全体では14.1%、女性は3.5%。

喫煙者の中には心置きなく吸い続けたい愛煙者以外に、喫煙本数を減らしたい減煙希望者、喫煙そのものを止めたい禁煙希望者もいる。その実情を厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(※)の公開データから確認する。

今調査の直近分においては、男性で30.2%、女性で8.2%が習慣的に喫煙をしている(たばこを「毎日吸っている」または「時々吸う日がある」と回答している)との結果が出ている。

↑ 現在習慣的に喫煙している人の割合(20才以上)(2016年)
↑ 現在習慣的に喫煙している人の割合(20才以上)(2016年)

そこでこれらの人に、禁煙あるいは減煙の意思があるか否かについて、やめたい・本数を減らしたい・やめたくない・分からないのうち択一で答えてもらった結果が次のグラフ。男性では57.2%、女性では61.9%が禁煙あるいは減煙を望んでいる。

↑ 喫煙を止めたいと思うか(2016年、毎日・時々喫煙者限定)(男性)
↑ 喫煙を止めたいと思うか(2016年、毎日・時々喫煙者限定)(男性)
↑ 喫煙を止めたいと思うか(2016年、毎日・時々喫煙者限定)(女性)
↑ 喫煙を止めたいと思うか(2016年、毎日・時々喫煙者限定)(女性)

元々習慣的喫煙者は男性の方が人数・比率ともに大きいため、男性全体・女性全体と比較すれば男性の方が禁煙・減煙希望者の「人数」も多くなるが、少なくとも習慣的喫煙者に限って割合を確認すると、女性の方が禁煙・減煙あわせた希望者も、禁煙希望者に限っても値は上となる。

興味深いのは、男女ともに若年層は低めで中堅層にかけて上昇し、それ以降は高止まりの動きを示すこと(女性の値で禁煙・減煙希望者率がやや不安定なのは、回答者数が少なく統計的なぶれが出ているため。例えば70歳以上の女性における毎日・時々喫煙者総数は81人でしかない)。中堅層以降は自らの健康に気を使い、喫煙に関する身体への影響の危機感を覚えるのだろうか。

今調査では「以前は喫煙していたが1か月以上吸っていない人(禁煙中者)」の割合も確認できる。これは全体に占める値で、現在喫煙者に対する比率では無い。また喫煙を止めた理由も問われていない。次に示すのは各属性に占める禁煙中者の割合と、禁煙中者の人数が習慣的喫煙者の人数の何%に当たるかを算出したもの。どれぐらいの人が喫煙から禁煙にシフトしたかを知ることができる。例えば男性20代で「禁煙中者率」は5.2%とあるので、男性20代全員のうち5.2%は現在禁煙中であることを意味する。

↑ 禁煙中の人の割合と、禁煙中者数と習慣的喫煙者人数の関係(2016年)
↑ 禁煙中の人の割合と、禁煙中者数と習慣的喫煙者人数の関係(2016年)

男性は元々喫煙者率も高いことから、禁煙している人の割合も高い。しかし男性はほぼ歳とともに禁煙者率も、「禁煙中人数÷習慣的喫煙者人数」の値も増加していくのに対し、女性は法則性のようなものを見出しにくい状況となっている(禁煙者「数」そのものが少なく、統計的にぶれが生じやすいのが主要因だが)。男性は年を取るに連れて禁煙に走る人が増えるものの、女性は年齢とはあまり関係が無いようだ。

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※国民健康・栄養調査

健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。直近年分の調査時期は2016年10月から11月。調査実施世帯数は10745世帯で、調査方法は調査票方式。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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