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20代が「自宅を買ってもいいな」と思える年収をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 自宅の所有は大きな夢には違いないが…(写真:アフロ)

人生の中で大きな買い物の代表格に挙げられるのが住宅。20代の人達は年収でどれぐらいの額を確保できれば、自宅の所有を考えるようになるのだろうか。SMBCコンシューマーファイナンスが2017年12月に発表した調査「20代の金銭感覚についての意識調査2017」(※)の結果を基に確認する。

次に示すのは年収の一定区分別の回答率と、累積回答率を併記したもの。例えば年収400万円に達した時点で自宅を取得してもよいと考える人は、年収500万円の条件でも当然取得したいと考える。400万円より500万円の方が、金銭的余裕は一層あると考えられるからだ。そこで各年収の仕切り別回答率に加え、累積の回答率も併記した次第。例えば自宅で300万円の累積回答率は10.6%だが、これは「年収を問わず所有したい」の6.5%、「200万円」の1.2%、「300万円」の2.9%をすべて足した結果である。

↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自宅、円)
↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自宅、円)

自宅は単価が高いだけでなく値幅も大きいため、想定している対象によって金額が大きく異なることから、上昇の度合いもゆるやか。

単独回答区分で一番高い回答率を示しているのは「1000万円以上」で、直前の区分の「900万円」から大きく跳ねている。この動きを見るに、住宅取得が相当好条件下における選択、つまり「自宅所有は高嶺の花」と考えている人が多いようだ。

また具体的な金額最高区分で大幅に上昇する傾向は前年調査結果と変わらないが、その上がり方は前年からさらに急な勾配となっている。併せて、「いくら世帯年収があっても自宅を所有・購入しようとは思えない」の割合も確認する。

↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自宅、累積、円)
↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(自宅、累積、円)
 ↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(「思えず」の割合)
↑ 所有・購入しようと思える世帯年収は(「思えず」の割合)

自宅所有に関して年収との照らし合わせによる判断では、より慎重になる傾向が見受けられる。1000万円以上の値はほとんど変わらないが、そこに至る層が大よそ減少しており、「自宅は欲しいけれどよほど年収の上で余裕が無いと」との認識が強まっているようだ。

また「(どのような高年収でも自宅取得をしようとは)思えず」の回答率が年々増加しているが、若年層では高額出費となる、そして多くはローン返済のために長期間に渡り金銭的負担が増える自宅購入は、慎重な姿勢を示しつつあると判断してよいだろう。

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※20代の金銭感覚についての意識調査2017

2017年10月2日から5日にかけて、携帯電話を用いたインターネット経由で20代男女に対して行われたもので、有効回答数は1000件。男女・20代前半と後半の仕切りで均等割り当て。未婚者822人、既婚者178人。調査協力機関はネットエイジア。

今件における「年収」とは特に設問中で定義がされていないため、世間一般に認識されている通り、手取り(所得)では無くサラリーマンなどなら天引きされている税金や社会保険料を含めた金額を意味するものとする。また、世帯「主」年収では無く、世帯年収であることに注意。回答者が世帯持ちだった場合、配偶者の収入も合わせて計上される。

また「自宅所有」は設問では単に「自宅」とのみあり、一戸建て・分譲マンション、新築・中古の仕切り分けは無い。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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