Yahoo!ニュース

スマートフォンやパソコンを使う時間が長いほど就寝時刻は遅くなるのか、子供達の実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ベッドの中でもスマートフォン操作。いつ寝るのかな?(写真:アフロ)

1日は誰にとっても24時間しか無く、さらに生徒学生諸氏は学校などでの就学に多くの時間を割かねばならないため、自由采配ができる時間は少なくなる。何か好きなことをしようとすれば、当然何かを削らねばならないが、一番容易に削られるのは睡眠時間であり、それは就寝時刻が遅くにずれ込むことを意味する。登校時間は変更できないため、起床時刻をずらすわけにはいかないからだ。今回は総務省統計局による社会生活基本調査(※)の結果を用い、在学者における平日のスマートフォン・パソコンなどの使用時間と、就寝時刻との関係を確認する。

次に示すのは回答者の「スマートフォン・パソコンなど」を使用した時間別の、平日における平均就寝時刻。例えば男性で「使用しない」の小学生は21時46分とあるので、平日において「スマートフォン・パソコンなど」を使っていない小学生は、平均で21時46分には床に就いていることになる。

なお回答値は一部有意値が集まらなかった属性もあり、その部分はグラフでは空白となっている。

↑ 平日の平均就寝時刻(2016年、時:分、スマートフォン・パソコンなどの使用時間別)(男性)
↑ 平日の平均就寝時刻(2016年、時:分、スマートフォン・パソコンなどの使用時間別)(男性)
↑ 平日の平均就寝時刻(2016年、時:分、スマートフォン・パソコンなどの使用時間別)(女性)
↑ 平日の平均就寝時刻(2016年、時:分、スマートフォン・パソコンなどの使用時間別)(女性)

全体的には男女でどちらが長いという傾向だったものは無い。あえて言えば中高生は男性の方が長めになる傾向があるという程度。

学校種類別では当然年上の方が夜更かしとなるので、同じ使用時間では小学生よりも中学生、中学生よりも高校生、高校生よりも大学生など(大学以外に短大・高専、大学院)の方が大よそ上となる。

他方、一部でイレギュラーも生じているが、おおむねどの学校種類でも「スマートフォン・パソコンなど」を使用する時間が長い人ほど、就寝時刻は遅くなる傾向にある。例えば高校生の男性では平日に使っていない人は23時30分に床に就くが、6~12時間未満の人は日付が変わって0時13分にようやく眠ることになる。小学生ですら平日に「スマートフォン・パソコンなど」を使っている人は、男性の場合は3時間以上の人が、女性は時間を問わずに就寝時刻が22時以降にずれ込むことになる。

したいことがあるから時間を割くために睡眠時間を削るのは、手段の一つであり、大人でもよく行うもの。しかし睡眠時間を必要以上に削ればそれだけ体に負荷が生じ、翌日の行動に差支えが生じる。さらに中長期的にマイナスの影響を及ぼすことは否定できない。適度な睡眠時間を確保するためにも、「スマートフォン・パソコンなど」の使用はほどほどにするよう、当事者は十分に心がけ、保護者は教え諭してほしいものである。

■関連記事:

子供達のインターネットの利用時間は食事や睡眠、勉強時間を削って作られている

子供にスマホを持たせたい親が不安に思うこととは?

※社会生活基本調査

5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。

今件における「スマートフォン・パソコンなど」を使用する=行動とは、インターネット接続により得るサービスの使用を意味する。また、インターネットに接続して入手したアプリケーションや音楽の使用も含む。さらに学業や仕事での使用は該当しない(学業は「学校での使用」と限定されていないので、自宅で自発的に勉強目的のために情報検索をする場合も該当しない)。要はプライベートでのインターネットの使用である。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事