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小中高校生の平日のインターネット利用実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 今や小学生でもインターネットを楽しむ時代。平日はどのような時間帯に、何を?(写真:アフロ)

小中高校生の平日のネットライフは主に夕食後

スマートフォンなどの普及で子供でも容易にインターネットを利用できるようになったが、平日は学校に通う必要があり、また自宅でも時間の多くを学習に費やさねばならない。いつ、何をしているのだろうか。総務省統計局による社会生活基本調査(※)の公開値から確認する。

次に示すのは小中高校生別に仕切り分けした上で、平日に「スマートフォン・パソコンなど」を使用した人=行動者の割合。なお今件での使用とはインターネット接続により得るサービスの使用を意味する。また、インターネットに接続して入手したアプリケーションや音楽の使用も含む。他方、学業や仕事での使用は該当しない(学業は「学校での使用」と限定されていないので、自宅で学習目的に情報検索をする場合も該当しない)。要はプライベートでのインターネットの使用。

↑ 学校種類別・「スマートフォン・パソコンなど」の時間帯別行動者率(2016年、平日)
↑ 学校種類別・「スマートフォン・パソコンなど」の時間帯別行動者率(2016年、平日)

元々スマートフォンやパソコンを使うことができない、許されていない人は当然該当しないため、全般的に小学生や中学生と比べると高校生の方が行動者率は高い。また、小学生は夕食時まではほとんど触れる機会が無いが、中学生や高校生は朝食時や通学時の6~9時においてもそこそこ使用している。日中で高校生が1割強もの値を示している時間帯があるのは、休み時間やお昼休みに手持ちのスマートフォンを使ったのだろう(つまり学校にスマートフォンを持ち込み、休み時間に利用できることを意味する)。

夕食時以降になると行動者率はグンと伸びる。特に18~21時では小学生でも4割近くが利用する。21~24時になると小学生は就寝時刻が早いために値は1割程度となるが、高校生は18~21時よりも多くの人が利用するようになる。

平日のインターネット使用の中身

それでは平日に小中高校生はインターネットを使って何をしているのか。利用目的を主に次の4つに区分して、それぞれの利用実情を複数回答で確認したのが次のグラフ。それぞれの属性全体比ではなく、インターネットを使っている人に占める割合であることに注意(個々の時間帯ではなく、1日を通して使った経験がある人が母数)。

●ネットショッピング

 商品やサービスの購入。選んでいる時間も含む

●趣味・娯楽

 映画鑑賞、音楽鑑賞、電子書籍による読書、ゲームなど

●交際・付き合い・コミュニケーション

 通話やメール、チャットなどによる会話

 SNSやブログなどのソーシャルメディアで行う情報交換やメッセージのやりとり

  (単に情報を得るための使用は除く)

●その他の使用

 ニュースの閲覧やその他の情報収集など

↑ 使用目的別・「スマートフォン・パソコンなど」の時間帯別行動者率(2016年、平日)(小学生)(「スマートフォン・パソコンなど」使用者限定)
↑ 使用目的別・「スマートフォン・パソコンなど」の時間帯別行動者率(2016年、平日)(小学生)(「スマートフォン・パソコンなど」使用者限定)
↑ 使用目的別・「スマートフォン・パソコンなど」の時間帯別行動者率(2016年、平日)(中学生)(「スマートフォン・パソコンなど」使用者限定)
↑ 使用目的別・「スマートフォン・パソコンなど」の時間帯別行動者率(2016年、平日)(中学生)(「スマートフォン・パソコンなど」使用者限定)
↑ 使用目的別・「スマートフォン・パソコンなど」の時間帯別行動者率(2016年、平日)(高校生)(「スマートフォン・パソコンなど」使用者限定)
↑ 使用目的別・「スマートフォン・パソコンなど」の時間帯別行動者率(2016年、平日)(高校生)(「スマートフォン・パソコンなど」使用者限定)

小学生は朝方に使っていることはあっても、ごく少数。利用している人のほとんどは夕食後のプライベートタイムに集中しているのが分かる。要は、使用が許されている場合でも、夕食後に限定されているケースがほとんどということ。その利用時間帯では大体が趣味や娯楽。コミュニケーションも多少は行っているが、ゲーム利用がほとんどだろう。

これが中学生、そして高校生になると、朝方や日中でも使用するケースが増えていく。スマートフォンを所有するようになれば、保護者の目を気にすることなく使えるからだろう。

そしてコミュニケーションやその他の使用スタイルの行動者率は小学生と比べて増えている。さらに高校生では趣味や娯楽よりも、コミュニケーション目的で利用することが多くなる。スマートフォンの利用スタイルがゲームからソーシャルメディアの利用にシフトしていくのは、他の調査結果でも明らかになっており、それが裏付けられた形ではある。

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※社会生活基本調査

5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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