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竹島問題に関心がない人4割近く、その理由は…?

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 今も韓国によって不法占拠・支配が継続中の竹島。日本人の関心は(写真:ロイター/アフロ)

竹島問題に関心がある人は約6割

内閣府は2017年10月、竹島に関する世論調査(※)の結果概要を発表した。その公開資料から竹島への関心のあるなしなどの実情を確認する。

竹島は島根県に属し、隠岐島の北西約157キロ、北緯37度14分・東経131度52分に位置する、男島・女島から構成される島。戦後発効したサンフランシスコ講和条約で国際的に日本領帰属として確定したが、その直前に韓国が独自かつ一方的に海洋主権宣言(李承晩ライン宣言)を行い竹島の領有を主張、同島を自国領海に取り込み、以後同国が武力によって不法占拠・支配を継続しており、日本の施政権行使がさまたげられる状態が続いている。

↑ 竹島の位置(島根県公式サイト・Web竹島問題研究所から)
↑ 竹島の位置(島根県公式サイト・Web竹島問題研究所から)

その竹島について関心があるか否かを聞いたところ、強い関心を持つ人は21.6%、どちらかといえば関心がある人は37.7%となり、合わせて59.3%が関心派との結果が出た。

↑ 「竹島」について関心があるか
↑ 「竹島」について関心があるか

どちらかといえば関心がない人は24.0%、強く関心がない人は13.2%となり、合わせて37.2%が無関心派に属する結果となった。今調査対象母集団における竹島そのものの認知度は93.8%なので、「竹島を知っているが、興味関心はない」人は全体の3割強存在する計算になる。

また2014年に実施された前回調査の結果と比較すると、関心派は値を減らし、無関心派は増える傾向が確認できる。竹島に関する情報取得は主に4マス、特にテレビやラジオなどの電波媒体に寄るところが大きいので、それらのメディアでの取り扱われ方が質・量ともに劣化したのだろうか。

関心内容は「正当性」「歴史的経緯」「対応」

関心派・無関心派それぞれにつき、その内容・理由を尋ねた結果が次以降のグラフ。まずは関心派の具体的な関心内容だが、「我が国の竹島領有の正当性」を挙げる人がもっとも多く、73.5%との結果となった。

↑ 「竹島」への関心内容(複数回答、関心がある派限定)
↑ 「竹島」への関心内容(複数回答、関心がある派限定)

次いで「歴史的経緯」や「日韓関係に与える影響」「我が国の政府や地方自治体の対応・取組状況」が続く。見方を変えれば竹島問題について広報・啓蒙・公知を行う場合、これらの要件に重点を置いて情報を配信することで、効果的に需要に応えることができることになる。

また「他の人の意見や考え」「研究成果・論文」への回答値が低いのが目に留まる。これは他の主張などに興味はなく、関連問題における事実、実情を知りたい、興味があるといった関心派の認識が透けて見える。

一方、無関心派が関心を示さない理由として挙げたのは「自分の生活にあまり影響がない」で、64.7%。次いで「竹島に関して知る機会や考える機会がなかった」が31.4%と続いている。

↑ 「竹島」に関心がない理由(複数回答、関心がない派限定)
↑ 「竹島」に関心がない理由(複数回答、関心がない派限定)

竹島問題は国レベルでの外交・内政問題だが、一人一人の立ち位置から見れば、直接生活には関係のない話と受け止められるのも無理はない。ただしこれは周辺海域の施政権にも関わる問題となり、対応次第では同島以外の問題にも連鎖反応が生じるリスクもある。要は「竹島一島だけの問題で、自分の日常生活には影響がない」と回答者が考えているに過ぎない、見方を変えれば回答者の認識・情報が不足していることになる。この点では第2位の回答「竹島に関して知る機会や考える機会がなかった」も似たようなものとなる。

第3位以降の「内容が難しい」「紛争や武力衝突など負のイメージを連想する」は、個々の心境・性質の問題から、仕方のない面もある。しかし第1位・第2位の理由は、多分に啓蒙・情報公知不足によるところが大きい。今調査の調査要目にある「(調査目的として)竹島に関する国民の意識を調査し、今後の施策の参考とする」を誠実に実行することを期待したい。

また前回調査分からの動きを見ると「影響がない」が増加し、「機会がなかった」が減っている。今後の広報活動においては、この点に重点を置くべきかもしれない。

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※竹島に関する世論調査

2017年7月13日から23日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人3000人に対し、調査員による個別面接聴取方式によって行われたもので、有効回答数は1790人。前回(2014年実施)までの調査では20歳以上を対象としていたのに対し、今調査からは18歳以上を対象としているため、2014年分までと2017年分以降との間に厳密な連続性はないことに注意が必要。

(注)本文中の各グラフは特記事項のない限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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