完全自動運転車への米国の人達の思いをさぐる
昨今注目されている新技術の一つが自動運転車。最終的に求められているものは、運転手無しで利用できる、完全に運転が自動化された自動車。米国の人達は完全自動運転車にいかなる思いを抱いているのか。米国における完全自動運転車に対する認識を、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年10月に発表した、技術と人々の暮らしに関わる調査結果「Automation in Everyday Life」(※)を基に確認していく。
まず完全な自動運転車(運転手無し)に乗ってみたいか否かを尋ねた結果。44%が乗ってみたいと答えている。
乗ってみたいとは思わない人は56%。注目の技術にしては否定派が多いのは意外ではある。
それではなぜ乗ってみたいのか・乗りたくないのか。その理由をそれぞれの回答者に尋ねた結果が次のグラフ。乗ってみたい人は面白そうだから、乗ってみたくない人は安全性への懸念が理由のトップとなっている。
乗りたい理由としては、完全自動運転車のメリット「搭乗中には他のことに従事できる」「運転手をしていた人はストレスをためることが無くなる」「長距離の旅行に便利だから」などの回答率はさほど高くない。知的好奇心を意味する「面白そうだから」がトップで、メリットというよりは必要不可欠な要素である「安全性」が次点の理由となっている。
他方、乗りたくない人の理由の最上位は「安全性が信じられない・暴走するかもしれない」で、次いで「安全性に不安がある」がついている。合わせると7割を超えており、完全自動運転車の問題点はひとえに安全性への懸念が大きい点にあることが分かる。開発側は常に安全性を求めていることは間違いないが、需要側は現時点の技術・実績では信頼に足るレベルにまでは達していないとの認識のようだ。
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※Automation in Everyday Life
調査専用の調査対象母集団(RDD方式で選択された固定電話・携帯電話を有するアメリカ合衆国の18歳以上を対象に選択)を対象に2017年5月1日から15日にかけて実施されたもので、有効回答数は4135人、うち就業者は2510人。国勢調査の結果を基に性別、年齢、学歴、人種、支持政党、地域、就業中か否かなどの属性でウェイトバックが実施されている。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。