日本国民の民主主義体制への満足度は50%
日本をはじめ多くの国で導入されている施政の仕組みが民主主義。この体制下での施政に日本人はどのような心境を抱いているのだろうか。アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年10月に発表した調査報告書「Japanese Divided on Democracy’s Success at Home, but Value Voice of the People」(※)から確認する。
次に示すのは日本の政治体系に関わる質問。今回調査が初めてとなるため、過去の調査結果の値からの推移はない。
日本において民主主義が正しく機能していると考えている人は「強い肯定」「肯定」合わせて50%、そうでないと考えている人は「否定」「強い否定」合わせて47%。結構微妙な値ではある。ちなみに報告書では年齢階層別の値が一部だが公開されており、それによればそうでないと考えている人(「否定」「強い否定」の合計)は30~49歳で50%、50歳以上で48%なのに対し、18~29歳では32%に留まっているとのこと。
他方、調査時点の政府の姿勢に肯定的、信頼している人は「強い肯定」「肯定」合わせて57%、信頼していない人は「否定」「強い否定」合わせて40%。この値に関しては報告書で他国の状況も一部言及されており、例えば「強い肯定」「肯定」合わせた値はオランダ(71%)、ドイツ(69%)、スウェーデン(67%)よりは低いが、アメリカ合衆国(51%)、イギリス(49%)、オーストラリア(48%)よりは高い値となっている。
なおクロスデータは非公開となっているが、傾向として「現政府に不満を持つ人の多くは民主主義が正しく機能していないと考えている」との説明がある。どこの国でも多かれ少なかれ見受けられる現象だが、自分の思う通りにならない結果に対し、社会が悪い、システムが悪いと考えた結果なのだろう。
それでは現行の間接民主制が望ましくないとするのなら、どのような政治体系がよいと考えているのか。いくつかの例を挙げて、望ましいか否かを答えてもらった結果が次のグラフ。
選択肢の中では現行の間接民主制が一番支持率が高く、「強い肯定」「肯定」合わせた肯定者は77%、直接民主制は65%。選挙による人選ではなく専門家による施政を肯定する人は49%、強力なリーダー(カリスマ性のある、という意味だろう)による施政は31%、軍政は15%に留まっている。
報告書では一部属性別の傾向の説明があるが、強力なリーダーの施政や軍政を望む人は低学歴者に多い、専門家による施政は若年層で比較的高い支持を集めているとのこと。
ともあれ、現行の政治体系が一番望まれている姿であることに間違いはなさそうだ。
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※Japanese Divided on Democracy’s Success at Home, but Value Voice of the People
報告書の内容は2017年春のPew Research Centerによる国際的な一斉調査によって行われた調査結果の中から、日本における調査部分を抽出したもの。実施期間は2017年3月8日から4月2日。電話による音声対応でのインタビュー形式で行なわれており、RDD方式で選ばれた電話番号(固定電話と携帯電話が半々)にかけて、電話に出たのが18歳以上だった人が対象。総回答者数は1009人。性別、年齢階層別、地域別などでウェイトバックが実施されている。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。