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現在の生活に満足している人は74%

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日々の生活に満足している人はどれぐらいいるのだろうか(写真:アフロ)

74%の人が「今の生活に満足」

日常生活への満足度は周辺環境や経済上の貧富の度合い、社会的な満たされ度合いなど多様な要素によって左右される。人々は現在の生活にどれほど満足しているのだろうか。内閣府が2017年8月に発表した定点観測調査「国民生活に関する世論調査」(※)の結果から確認する。

次に示すのは「あなたは、全体として、現在の生活にどの程度満足していますか。この中から1つお答えください」と回答者自身の生活への満足感を尋ね、選択肢として「満足している」「まあ満足している」「やや不満だ」「不満だ」「どちらともいえない」「わからない」を提示。そのうち前者「満足している」「まあ満足している」を満足派として合算し「満足度」と名付け、その値を示したグラフ。全体では73.9%が満足派との結果となった。

↑ 現在の生活に対する満足度(2017年7月)
↑ 現在の生活に対する満足度(2017年7月)

回答者の居住地域の都市規模別ではほとんど差異は無し。この類の調査の場合、得てして違いが生じるものだが、差は誤差の範囲。都道府県別などの動向も知りたいところだが、今調査の公開値では確認できなかった。

ともあれ、73.9%の人は現状の生活には満足しているとの認識を有している。

これを性別・年齢階層別で見ると次の通り。

↑ 現在の生活に対する満足度(2017年7月)(性別・年齢階層別)
↑ 現在の生活に対する満足度(2017年7月)(性別・年齢階層別)

男女別では女性の方が満足派が多い。また年齢階層別では若年層が一番高く8割近くを占め、歳を取るに連れて下がり、50代ではもっとも低く7割を切る。具体的解説は発表資料には一切無いが、サラリーマンのお小遣い関連の調査でも似たような結果がしばしば出ていることもあり、リストラや子供の教育費による金銭的圧迫感が多分に影響しているものと考えられる。

↑ 現在の生活に対する満足度(2017年7月)(就業上の地位別)
↑ 現在の生活に対する満足度(2017年7月)(就業上の地位別)

就業上の地位別では学生の値が高い。モラトリアムを十分に楽しんでいるということか。単純な無職(無回答)の値がもっとも低く66.7%となっているが、これは該当者が3人しかいないために生じた統計上のぶれによるもの。他方、自営業者がやや低めな点や、無職でも主婦(つまり専業主婦)が高めで、主夫やその他の無職(リストラされた状態か居候か)が低めなのも納得できる動向ではある。

↑ 現在の生活に対する満足度(2017年7月)(職業別)
↑ 現在の生活に対する満足度(2017年7月)(職業別)

最後は職業別。管理職や事務職、専門・技術職などのホワイトカラー系は高めで、販売・サービス・保安職や生産・輸送・建設・労働職などは低め。回答値の統計数的ぶれは生じていないので、労働条件や給与面での違いが表れているのかもしれない。実際、所得・収入面での満足度を見ると、ほぼ同様の結果が出ている。

↑ (参考)現在の生活に対する満足度(2017年7月)(所得・収入、職業別)
↑ (参考)現在の生活に対する満足度(2017年7月)(所得・収入、職業別)

昔はどのような状況だったのか

全体値としての満足派の動向を精査した結果が次のグラフ。

↑ 現在の生活に対する満足度(満足派推移)
↑ 現在の生活に対する満足度(満足派推移)

数年のずれが生じている期間もあるが、大よそ景況感に似た動向をしているのが興味深い。バブル崩壊直前までつけていた高値は、その後落ちていき、ITバブルでも下げ止まらない。デフレ感が強い心理的影響を与えていたことがうかがえる。その後、いざなみ景気期間はやや持ち直しを見せるが、金融危機、さらにはリーマンショックで大きく落ち込む。それ以降は震災時も値を上げるが、バブル期の最高値を目前にして足踏み、そして直近年で大きく伸びた次第。

なお一部に2016年分調査から調査対象をこれまでの20歳以上から18歳以上に下げたために、直近年分が大きく伸びたのではとの指摘もあるが、はじめての18歳以上対象とした2016年分の値が70.1%(20歳以上に限れば69.8%)だったため、その指摘は当てはまらない。

無論数%ポイントの差は誤差として現れうるため、来年以降の動向を見極める必要があるものの、数字そのものを確かなものとして認識しなければならないのもまた事実ではある。

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※国民生活に関する世論調査

直近分は2017年6月15日から7月2日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する者の中から層化2段階無作為抽出法で1万人を選んだ上で、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は6319人。男女比は2945対3374、世代構成比は18-19歳が74人・20代467人・30代712人・40代1046人・50代981人・60代1395人・70歳以上1644人。過去もほぼ1年毎に同じような規模・調査方法で行われている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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