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東京都には165万世帯…高齢者世帯の実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 高齢者のみ(あるいはそれに18歳未満の未婚の者)の世帯はどれほどあるのか(写真:アフロ)

社会の高齢化に伴い問題される状況の一つが、高齢者世帯の増加。「高齢者世帯」とは65歳以上の者のみか、またはこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯のことを意味するが、何らかのトラブルが生じた際の対応や、日常生活における行動領域において、一般世帯と比べて難儀を覚えることが多く、より綿密な社会のサポートが求められる。見方を変えると、その世帯が多い地域では、社会保障をはじめとした運営コストのウェイトが大きなものとなる。今回は厚生労働省にて発表された年次定点観測的調査「国民生活基礎調査の概況」(※)の公開データをもとに、高齢者世帯の実情を確認する。

次に示すのは高齢者世帯の世帯数。単純な計上値であり、高齢者のみの夫婦世帯以外に、高齢者一人の単独世帯、高齢者と18歳未満の未婚の者が加わった世帯も含まれている。また熊本県は熊本地震を受けて調査が行われておらず、数字も未計上となっている。

↑ 高齢者世帯(2016年、万世帯)
↑ 高齢者世帯(2016年、万世帯)

東京都や大阪府、福岡県は元々人口が多いこともあり、世帯数も大きなものとなっている。他に関東各県、北海道、愛知県なども多さが目立つ。地域によっては10万世帯に満たないところも多々見受けられる。

他方、今件はあくまでも世帯数そのものであり、その地域における全世帯に占める割合はまた別。10万件の高齢者世帯があっても、その地域に1000万世帯が存在していれば、高齢者世帯はわずか1%に過ぎないことになる。

そこで各地域毎に全世帯数に対する割合を算出したのが次のグラフ。例えば全国では26.6%と出ているので、全国の全世帯のうち1/4強が高齢者世帯となる。

↑ 高齢者世帯比率(2016年)
↑ 高齢者世帯比率(2016年)

もっとも高い値を示しているのは鹿児島県の35.1%。次いで高知県の34.7%、和歌山県の33.8%。以上3地域は高齢者世帯が全世帯の1/3以上を占めている。近隣に3世帯あれば、そのうちの1世帯が高齢者だけの世帯な次第。

高いようなイメージがある東京都は27.9%。区部に限ると27.5%。もっとも低いのは愛知県で21.6%。5世帯に1世帯強の割合。

あくまで今件は指標の一つにしか過ぎないが、高齢社会問題や社会保障に関わる話、地域別の高齢問題の差異を検証する上では、大いに役立つものとなるはずだ。

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※国民生活基礎調査

直近年分は全国の世帯及び世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2016年6月2日・7月16日にそれぞれ世帯票・所得票・介護票、所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収できたデータは世帯票・健康票が22万4208世帯分、所得票・貯蓄票が2万4604世帯分、介護票が6790人分。

今調査は年単位での実施だが、3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2016年分)は大調査に該当する年であり、世帯票・所得票だけでなく、健康票・介護票・貯蓄票に該当する調査も合わせて実施されている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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