政府への要望の最上位は社会保障、次いで景気対策と高齢社会対策

↑ できるなら直接政府に自分の声を届けたい…か否かはともかく、要望はあるはず(写真:アフロ)

立場や生活環境、心情によって違いはあるが、人は誰でも政府への要望を抱いている。その実情を内閣府の定点観測調査「国民生活に関する世論調査」(※)の結果から確認する。

調査時点において、今後日本国政府はどのようなことに力を入れるべきか、複数回答形式で尋ねたところ(質問文言は「あなたは、今後、政府はどのようなことに力を入れるべきだと思いますか」)、直近年となる2017年において最上位の回答率を示したのは「医療・年金などの社会保障の整備」だった。全体では65.1%の人が望んでいる。

↑ 政府に対する要望(上位のみ)
↑ 政府に対する要望(上位のみ)
↑ 政府に対する要望(2017年6月、上位のみ、前回調査比、ppt(%ポイント))
↑ 政府に対する要望(2017年6月、上位のみ、前回調査比、ppt(%ポイント))

最上位の「医療・年金等の社会保障の整備」は前回調査と比べると0.7%ポイントの増加。他方、第2位の「景気対策」は値を5.1%ポイントも値を減らしている。景況感は回復に向かっている一方で、社会保障への不安は積み増しされていると解釈できよう。同率第2位の「高齢社会対策」が前年から順位を繰り上げたのも合わせ考えると、高齢者向けの社会保障への要望意志が強まっているのだろうか。

他の動きとして注目できるのは、「防衛・安全保障」の大幅な増加。4.3%ポイントも増えている。類似項目の「外交・国際協力」が2.0%ポイントのプラス、国内に限定した視点「治安」が2.2%ポイントのプラスの値動きを示しているのも合わせ、日本周辺地域のきな臭さへの反応の結果と見て問題の無い傾向ではある。

これを男女別に見たのが次のグラフ。

↑ 政府に対する要望(上位のみ)(男女別、2017年6月)
↑ 政府に対する要望(上位のみ)(男女別、2017年6月)

少なくとも上位陣では女性の方が要望率が高い項目が多い。「防衛・安全保障」「外交・国際協力」「税制改革」は男性の方が高い値だが、確かに男性の方が興味関心を引きそうな内容。一方で一見すると女性の方が関心度が高そうな「景気対策」「少子化対策」でも男性の方が上の値が出ており、やや意外感を覚えさせる。

女性が男性比で大きく伸びているのは「医療・年金等の社会保障の整備」「高齢社会対策」「雇用・労働問題への対応」「物価対策」「教育の振興・青少年の育成」。男女ともに値が高くほぼ同列に並んでいる「景気対策」を除き、上位陣のすべてで男性以上に強い要望(見方を変えれば現状への不満)を抱いているのが分かる。

これを年齢階層別に見ると、各項目の年齢別関心事項が透けて見える。

↑ 政府に対する要望(上位のみ)(年齢階層別、2017年6月)
↑ 政府に対する要望(上位のみ)(年齢階層別、2017年6月)

「景気対策」「雇用・労働問題への対応」は50代までに高い関心が寄せられているが、60代を超えると急速に低下する。一方で「医療・年金等の社会保障の整備」「高齢社会対策」は50台まで上昇を続け、60代以降も高い値を維持している。日本全体をよくするための施策よりも、回答者本人にとって何が一番望まれるのかを第一に考えてしまい、それがそのまま値に反映されているのが分かる。全体的に要望への関心が低い高齢層でも、「高齢社会対策」以外に「物価対策」において他年齢階層とさほど変わらない、むしろ若年層より高い値を見せているのが好例。

また、「少子化対策」「税制改革」など、一見若年層が無関心な姿勢を見せているように世間一般では伝えられている問題も、概して若い年齢階層ほど要望への回答率が高い。「若者は政治や社会に無関心だ」との印象は実情とは異なるようだ。無論「雇用・労働問題への対応」は若年層ほど高い値を示し、18歳から39歳では「高齢社会対策」よりも上位についている。切実な問題であることをうかがわせる。

なお今件はそれぞれ独立した項目で「要望のある・無し」を尋ねているが、本来政策は多数項目が連動して行われる(べき)もの。どれか一つの政策のみに焦点を絞って注力しても、他の項目が足を引っ張られることになり(リソースは有限)、結局マイナスの影響を受けた項目が注力した部分にも悪影響を及ぼし、全体的な環境も悪化してしまう。それぞれの項目の連鎖性・波及効果を思慮深く考慮した上で、政策方針が決定され、具体的施策が打たれるべきであることは言うまでもない。

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※国民生活に関する世論調査

直近分は2017年6月15日から7月2日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する者の中から層化2段階無作為抽出法で1万人を選んだ上で、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は6319人。男女比は2945対3374、世代構成比は18-19歳が74人・20代467人・30代712人・40代1046人・50代981人・60代1395人・70歳以上1644人。過去もほぼ1年毎に同じような規模・調査方法で行われている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。