日本の原油輸入元をさぐる(石油統計版)
エネルギー源の一つとして日常生活の維持には欠かせない原油。日本はどこから輸入しているのか、その実情を経産省の公開資料「石油統計」から確認する。
経産省では毎月1回月次、毎年1回年次で、日本における原油の輸入元、原油を用いてどのような二次商品を生成したか(ガソリンやナフサ、アスファルトなど)を石油統計として公開している。記事執筆時点では年次ベースのものは2016年のものが最新値なので、これを用いてグラフを生成する。
今資料では具体的な輸入量も確認できるので、まずは輸入元別の輸入量を棒グラフ化する。
最大の輸入元はサウジアラビアで、2016年の1年間だけで日本は6883万キロリットルもの原油を輸入している。日本の国産原油産出量は年間で60万キロリットル前後。サウジアラビア1国だけで、日本国産原油の100倍以上もの原油を輸入している計算になる。
次いで多いのはアラブ首長国連邦(UAE)、カタール、イラン、クウェート、ロシア。ロシアはともあれ、中東地域の国名が並ぶ。そしてやや値を落としてメキシコが続く。
これを円グラフに生成すると次の形となる。中東地域に多分に依存している現状が把握できる。
赤系統で着色したのが中東地域。オイルショックなどの影響でリスク分散の必要性が認識されたことから、中東地域以外からの輸入が積極的に推し進められ、1987年度には日本の石油における中東依存度は68%程度にまで減少していた。
しかしその後、中東地域以外の産油国の多くが、経済発展と共に自国の原油を消費し始め、輸出ができなくなってしまう事態が生じてしまう。石油統計の資料を見る限りでは、最近では例えば中国がその傾向を見せている。直近のデータでは2011年以降の年次データが確認できるが、年々中国からの輸入量は減少し、2013年ではついにゼロとなり、それは今回年の2016年でも続いている。必然的に中東依存度は再び上昇する。
社会を維持するために欠かせないエネルギー源の一つである原油を過不足なく常時確保し、国内に供給し続けるためには、産油国への経済協力をはじめとした国際協調の推進が欠かせない。そしてそれと共に、海路の安全性に関する重要性の認識とその維持への注力、輸入先の分散化が求められよう。
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※本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。