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主要なソーシャルメディアなどの利用状況の変化をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 暇さえあればソーシャルメディア。どれほどの人が使っているのか(写真:アフロ)

この数年でコミュニケーションの様式を大きく変化させた要因の一つに挙げられるのがソーシャルメディア。スマートフォンと相互作用する形で普及率はうなぎのぼりとなり、さまざまな社会・経済方面にも影響を与えている。今回は総務省情報通信政策研究所が2017年7月に発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)などの調査結果をもとに、数年間に渡る主要ソーシャルメディアなどの利用状況を確認する。

まずはLINE。

↑ ソーシャルメディア利用状況(LINE)
↑ ソーシャルメディア利用状況(LINE)

若年層、特に10代から20代の利用率が高い。中でも2012年から2013年にかけて急速に普及が進んだ様子が分かる。特に学生・生徒(中学生から大学生)では2012年の時点ですでに45.3%が利用しており、2013年ではさらに30%ポイント近い上昇を示して3/4の利用率に達している。ほぼ同時期にはスマートフォンの普及も急速に進んでいることから、スマートフォンの利用とLINEが一体化したかのような連動性を示していることが理解できよう。

直近の2016年ではむしろ先行して普及した属性は頭打ちの状態で、30代以降にまで浸透が進み始めている(10代がやや大人しめなのは、LINEを使える機種そのものを有していない人が居るため)。30代から50代における2014年以降の急上昇は、子供との連絡用として導入したことも十分考えられる。40代は直近年でわずかに減少したが、これは多分にイレギュラーだろう。あるいは前年の2015年がイレギュラーで、その反動的な結果とも受け止められる。

続いてFacebook。

↑ ソーシャルメディア利用状況(Facebook)
↑ ソーシャルメディア利用状況(Facebook)

LINEほどではないが、やはり2012年から2013年に大きな飛躍が確認できる。もっとも20代から50代と就業者の範ちゅうでの伸びが著しく、学生・生徒や10代では大きな上昇がないことから、ビジネス的な利用目的で始めた人が多かった可能性はある。

直近の2016年では30代以降で少しばかりの上昇、そして10代から20代、学生・生徒で小さからぬ減退が確認できる。この動きは2015年からのもので、誤差による変動とはとらえにくく、むしろいわゆる「若者のFacebook離れ」のような感はある。気さくに利用できるLINEやTwitterにシフトしたのだろう。

TwitterはFacebookのやや若者よりな状態。

↑ ソーシャルメディア利用状況(Twitter)
↑ ソーシャルメディア利用状況(Twitter)

2012年から2013年にかけての大きな動きは10代と20代で顕著だが、それ以外の属性では見られない。少しずつ利用率が高まる形。一方でFacebookでも見られた傾向だが、10代よりも学生・生徒の値が大きく、学生間でFacebookやTwitterが率先して使われ、浸透している様子が分かる。LINEが10代と学生・生徒の値の差がほとんど無かったのと比べて特徴的ではある。

直近の2016年では大よその階層で増加しており、特に20代と学生・生徒の伸びが顕著。中堅層以降も伸びているが、元々の利用率が低いこともあり、Facebookと比べて若年層の比率が高い状態となっている。また男女別ではLINE同様に女性の方が有意に利用率が高いのも特徴ではある。

最後はmixi。

↑ ソーシャルメディア利用状況(mixi)
↑ ソーシャルメディア利用状況(mixi)

上記3ソーシャルメディアとは大よそ逆、年が経つに連れて利用者が減少する動きを示している。特に2012年から2013年にかけて若年層、具体的には10代から20代、学生・生徒の減り方が著しく、とりわけ10代と学生・生徒では半分以下にまで落ち込んでいる。同時期にLINEが急速に伸びた動きを示していることを合わせ考えると、相関関係をもとにした推論でしかないが、多分のmixi若年層利用者がLINEに流れたと見ても不思議ではない。

全体では2012年から2016年にかけて利用者は40%台にまで減少。10代に限れば1割程度にまで減ってしまっている。学生・生徒ならば前年比でやや増加したが、5%にも満たない。40代が漸増状態に転じているのが、色々と考えさせられる動きではある。mixi創世記の利用者の回顧主義的動きだろうか。

今調査は現時点で5年分しか該当データを抽出できないため、ぶれが生じている可能性は否めない。明確な変動傾向はあと数年調査結果の蓄積が欲しいところだが、インターネットサービス系のすう勢は流れが速く、調査データが蓄積される前に明らかな結果が出てしまう可能性すらある。

とはいえこの数年は、ソーシャルメディアの趨勢が大きく動いた期間でもある。色々な意味で、納得のいく動きを示していることには違いない。

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主要ソーシャルメディアなどの利用状況の変化をグラフ化してみる(動画・画像編)

※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。

今件では日本における主要ソーシャルメディアとして挙げるLINE、Facebook、Twitter、そしてmixiの、「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」における利用状況の精査を行う。LINEは厳密にはソーシャルメディアでは無く対個人・少数人数間におけるチャットツールだが、今調査ではソーシャルメディアとして取り扱っていることから、今回もその仕切りに従う。利用状況を示す利用率は、調査の上で「携帯電話及びパソコンのいずれからも利用していない」の回答値から100%を引いて逆算している。

なお「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では現時点で今回年も合わせ5年分の調査が行われていることから、5年分の推移を見ることになる。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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