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欲しい人にはほぼ浸透ずみ? ゲーム機の所有・利用状況をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 多くの人にとって今なおゲーム機は心の友、ではあるが……(写真:アフロ)

据置型の普及率は6割近く、だが…

昨今ではネット接続が当たり前となりオンラインゲームも多数発売され、一方で同様のゲームが遊べるスマホとのし烈な市場の覇権争いが繰り広げられているゲーム機。その所有・利用実情を総務省が2017年7月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に確認する。

次に示すのはテレビゲーム機(据え置き型)の所有及び利用状況。自宅にある・無しを回答者に答えてもらい、ある場合には回答者自身が利用しているか、それとも利用していないか(置いてあるだけなのか、家族の別の人が使っているかは問わない)、無い場合には自宅に欲しいか、必要ないかを答えてもらっている。単純にある無しの回答だけでなく、ある場合には利用状況を、無い場合には所有希望の有無まで尋ねることで、細かいテレビゲーム機の需要を確認できる。なお今件は回答用紙には「テレビゲーム機(Wii、PlayStationシリーズなど)」と記載されている。

↑ テレビゲーム機所有状況(2016年、自宅)
↑ テレビゲーム機所有状況(2016年、自宅)
↑ テレビゲーム機所有状況(2016年、自宅、「無い」)
↑ テレビゲーム機所有状況(2016年、自宅、「無い」)

全体では自宅所有率は56.8%。しかし利用率は22.7%に留まっている。かつて使っていたが今はほこりをかぶっているとのケースもあろうが、むしろ子供が使っているが保護者である回答者は遊んでいない事例が多いのだろう。実際年齢階層別では低年齢ほど所有率・利用率共に高い値を示している。10代では所有率76.4%、利用率48.6%。

就業形態別では時間の余裕が無さそうな人ほど、逆に所有率・利用率は高い(学生除く)。所有時の金銭的ハードルの高さが問題なのだろうか。それをうかがわせるのが世帯年収別で、400~600万円まではほぼ低年収ほど低所有・利用率を示している。一方で居住都市規模別では違いはほとんど無い。

非保有者の状況だが、属性に限らずほとんどの人がテレビゲーム機は必要ないと回答している。現在自宅にテレビゲーム機がある人がもう一台、あるいは買い替えで購入する可能性までは推し量れないが、少なくとも現在一台も無い世帯で、新たに購入される可能性はほとんど無いと見て良い。一言で表現すれば世帯ベースでは飽和状態にある。

携帯ゲーム機も飽和状態、か?

続いて携帯ゲーム機。こちらは回答用紙には「携帯型ゲーム機(ニンテンドー3DS、PS Vitaなど)」と表記されている。

↑ 携帯ゲーム機所有状況(2016年、自宅)
↑ 携帯ゲーム機所有状況(2016年、自宅)
↑ 携帯ゲーム機所有状況(2016年、自宅、「無い」)
↑ 携帯ゲーム機所有状況(2016年、自宅、「無い」)

全体では自宅所有率・利用率共にほぼ据え置き型と同じ。所有率は男女差があまり無いものの利用率は男性の方が高い。そしてやはり10代の値が圧倒的に高い。20代以降の減退ぶりも据置型同様で、利用率では年齢と共に低い値となる。スマホへのシフト組が反映されているのかもしれない。就業形態別ではやはり学生・生徒がずば抜けて高く、8割が所有し、5割強が利用している。

世帯年収別では据置型ゲーム機同様、低年収ほど低所有率を示し、中堅以降は大きな変化が生じていない。そして利用率に限れば200万円未満以外は年収による差が無いのが興味深いところ。

他方非所有者の思惑は、意外にも据置型ゲーム機と同じで、ほぼ飽和状態にあることが分かる。自宅に携帯ゲーム機が無い人の大多数は、将来に渡っても欲しいとは思わないと考えている。代替わり、買い増しなどの理由で現在の所有者がさらに購入する可能性は否定できないが、現在非保有者が新たに購入する機会はあまり無いとの結論に達する。

今件はあくまでも回答時の状況で、しかも13歳以上の回答者に限られている。大学生や社会人になり一人暮らしを始める=新世帯で暮らすようになる場合の環境変化、13歳未満の子供の所有願望は反映されていないため、現在テレビゲーム機や携帯ゲーム機を持たない人で、新規に欲しがる人も少なからずいるだろう。

しかし少なくとも現状では多分に、据置型テレビゲーム機・携帯ゲーム機共に、飽和に近い状態であることは否定できまい。さらに今後の動向を見守る必要があるが、タブレット型端末やスマートフォンの浸透で、稼働率が低下する、つまり自宅にあるが使っていない人の割合がこれまで以上に低下する可能性は大いに考えられよう。

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※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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