睡眠時間と自由時間、その実情をさぐる
人は毎日睡眠をとらねば健康的な生活を維持することは不可能。また自由な時間が無いと、精神的に参ってしまう。実態として人は毎日どの程度の睡眠時間や睡眠時間を取っているのだろうか。総務省の調査「平成28年 情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)から確認する。
まずは平均睡眠時間。行為率、つまり該当行為をした人の割合はほぼ100%なので、全体値がそのまま行為者平均値となる(実データでは99.9%や99.8%だが、その時たまたま寝ていなかった人がいたか、あるいは調査票の記述時のミスと考えられる。少なくとも年を通して不眠の人は通常はありえない、無視をしても問題は無い)。
調査対象母集団全体の平均睡眠時間は平日で7時間08分、休日で8時間35分。休日は1時間半ほど長く、平日の睡眠不足を補っている形。男女別では平日はほとんど変わりないが、休日は男性の方がやや長めとなっている。
年齢階層別に見ると平日は中堅層が一番短く、40代から50代では7時間を切る。そして60代が一番長く7時間32分。休日になると若年層ほど平日との差が大きく、20代では2時間の差が生じている。50代までは平日と休日の差が大きいのは、学校や会社勤めで生じた睡眠不足・体力の消耗を休日でカバーしているからだろう。60代になるとそれらの必要が無くなるためか、休日・平日の差がさほど無くなる。
続いて平均自由時間。これは生活必需時間(食事や睡眠、入浴など)や社会的拘束時間(仕事や学業、移動時間)を除いたもの。
睡眠時間以上に平日と休日の差が大きい。平日は4時間足らずだが休日は約8時間と2倍にまで伸びる。また男女別では平日は女性、休日は男性の方が長いが、これは平日は男性は就業機会が多く、休日は平日同様女性は家事に従事する時間が長いため。似たような理由で、退職を迎えた人が多くなる60代では、平日から自由時間は長いものとなる。休日の自由時間で20代が長めに出ているのは、独身回答者の多さによるものだろう。
10代から20代にかけての平均自由時間は3時間半ほど。スマートフォンの利用実態調査で高校生や大学生が平日でも利用者においては数時間利用するとの結果が出ているが、ながら利用が多分にあるとはいえ、平均値のままでは辻褄が合わない場合が生じてしまう。社会的拘束時間は削ることができないから、生活必需時間を削ってまで利用しているものと思われる。
今件各値はあくまでも平均値でしかないが、インターネット調査などでないことから調査様式による偏りも気にしなくて済む、実情に近い値といえる。自分自身の日常生活と比較し、その過不足分の考察に役立ててほしいものだ。
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※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。