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ネットはいつ使われているのか、年齢別の違いをさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ スマホで寝る前もネットへアクセス。年齢での違いは?(写真:アフロ)

平日と休日、ピークは同じようだが……

パソコンだけでなくスマートフォンや従来型携帯電話などによる携帯電話を介し、人々は気軽にインターネットへアクセスすることが可能となった。インターネットは多様なサービスを提供するインフラで、そのサービスによって社会生活はあらゆる面で変化を迎え、今やインターネット無しでは生活できない、し難い状況となっている。一方でインターネットの利用動向は年齢により大きな差異が生じているとの指摘もある。今回は情報通信政策研究所が2017年7月に発表した「平成28年 情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)から、平日と休日それぞれにおけるインターネットの利用(用いたメディアの種類は問わず)状況を、年齢階層別に仕切り分けした上で確認する。

次に示すのはインターネット(利用端末の種類は問わない。パソコン以外に携帯電話なども含む)の行為者率推移。そして行為者とは、該当時間帯において連続して10分以上使った人のことを意味する。スマートフォンによるインターネットへのアクセスも当てはまるため、移動中などの利用もカウントされる場合が多々ある。もちろん回答者が自意識のうちに利用している状況を示すので、例えば自宅の端末でアプリケーションを起動させ続けている場合は、今件行為者としては該当しない。

↑ インターネット利用の時間帯別行為者率推移(2016年、平日、年齢階層別)
↑ インターネット利用の時間帯別行為者率推移(2016年、平日、年齢階層別)

時間別行為者率はその人が元々インターネットを利用しているか否かにも左右されるため、当然若年層の方が高い値を示すことになる。他方、若年層でもそれぞれの階層の事情により、時間ごとに行為者率には大きな違いが生じてくる。

10代は多くが就学状態であることから、朝の登校時間前に一つのピークを迎え、それ以降は減少。お昼時にいくぶん増えて(大学生、あるいはお昼休み時間のアクセス)、下校時間以降再び増加する。夕食後はさらに値は増加し、21時がピークとなる(22時もほとんど同じ値)。恐らくはスマートフォンによるアクセスが多分に及んでいるものと考えられる。

20代以降はその多くが就業者となるため、仕事目的のアクセスも増えることから、日中の利用も増加する。しかしやはりお昼時には大きなピークを迎える。夕方も少しずつ増えていくが、学校の下校時間よりは遅い退社時間であることから、増加開始のタイミングも1-2時間ほど後ろにずれ込んでいる。

夜のピークタイムは10代が21時台、20代は22時台、30代は21-22時台(同値)、40代・50代は21時台、60代は20時台。20代にかけて睡眠時間を惜しまずにインターネットを利用する姿勢を見せるも、30代以降は少しずつ就寝時間を早め、インターネットの利用状況も前にずれ込むようだ。一方若年層、特に20代はピークを過ぎても行為者率の減少度合いは他の階層と比べて緩やかで、午前1時でも1割近くが利用し続けている。翌日の就業・学業が不安だ。

これが休日となると利用スタイルは大きく変化する。比較がし易いよう、縦軸の仕切りは平日と同じにしてある。

↑ インターネット利用の時間帯別行為者率推移(2016年、休日、年齢階層別)
↑ インターネット利用の時間帯別行為者率推移(2016年、休日、年齢階層別)

年齢階層別で減少する時間帯がいくぶん異なる傾向にあるものの、朝のピーク時間が特になく9時から10時まで一様に上昇した後は高値を維持する(ただし30代はやや失速する、10代はむしろそれ以降もお昼にかけてまで上昇を続ける)、夕食後のプライベートタイムには40代までは一段高となるパターンは変わりがない。平日はすき間時間、自由に使える時間にのみ集中していた利用スタイルを、休日は終日通して行っているようすがうかがえる。

一方で50代は平日では確認できた夕食後の上昇の勢いが無く、朝方のピーク時と変わらない値で頭打ちとなっている。11時台のイレギュラー的な下げ方と合わせ、今回調査における50代のネット利用は、やや特異な傾向にあるようだ。

平日と休日の違いを色々な視点で

平日と休日それぞれの動向をグラフで見比べ、利用スタイルに違いがあることが確認できたわけだが、これを色々と数字を加工して検証していく。まずは単純に平日と休日の差を引き算して算出したもの。

↑ インターネット利用の時間帯別行為者率推移(2016年、平日→休日、年齢階層別、ppt)
↑ インターネット利用の時間帯別行為者率推移(2016年、平日→休日、年齢階層別、ppt)

上記で解説の通り、就業・就学時間帯はアクセスを制限される場面が多いことから、その制限が解除される休日では、平日と比べて行為者が増える状況が確認できる。もっともお昼時は10代以外はむしろ日中利用できない分をお昼休みで補おうとするためか、多分に利用する人が増えることから、かえって休日の方が低い値を示している。朝方でマイナス値を示しているのも似たような理由に加え、起床・朝食時間が平日からずれ込んでいるのが原因。

ところが18時以降、具体的には夕食以降になるとせいぜい増加分は5%ポイント程度で日中と比べると非常に小さな変化にとどまっている。これは夕食後のプライベートタイムにおけるインターネットの利用性向は、平日・休日の区別なく行われている実態を意味していることとなる。

他方10代に限ると、朝食以降から夕食まで、そして夕食後から就寝までのプライベートタイムにおけるプラス値が大きなものとなる。平日に就学でインターネットが使えない分、大いに利用しているようすがうかがえる。あるいは保護者から平日の利用を差し止められており、休日にのみ利用できる環境の人もいるのだろう。

各年齢階層別に時間単位の行為者率を単純に累積加算し、概算的な1日あたりのインターネット利用状況を行為者率で計上し、その値を平日と休日で比較したのが次のグラフ。例えば1日24時間ずっと行為者率が50%を維持、つまり該当階層の半数が24時間インターネットを利用していれば50%×24(時間)で1200%となる。これが休日に60%の維持ならば60%×24=1440%で、差し引き240%のプラス。それだけ余計にインターネットが利用されていることが分かる。

↑ インターネット利用の時間帯別行為者率推移(2016年、平日→休日、年齢階層別、各時間の変化%ポイントの累計)
↑ インターネット利用の時間帯別行為者率推移(2016年、平日→休日、年齢階層別、各時間の変化%ポイントの累計)

直上のグラフの通り平日と休日の間に大きな差異が生じるのは日中の時間帯だが、その時間帯で大いにネットを利用している若年層は大幅なプラスを示すものの、30代以降は大よそマイナス値を示す。これは平日の就業時間中に仕事目的で利用しているインターネットへのアクセス時間が長時間に渡っており、休日のプライベートタイムにおける利用でも長さの上で追いつけないことを意味する。

単にインターネットを利用する・しないで仕切ると、若年層は休日に羽根を伸ばして思う存分アクセスし、中堅層以降は休日では休みをネット以外にも活用するため、アクセス時間が減るといったところだろうか。

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※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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