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20代の新聞閲読率は1割足らず…主要メディアの利用状況をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ビジネスには購読は欠かせないと主張する新聞もあるが……(ペイレスイメージズ/アフロ)

平日と休日、それぞれの年齢別メディアの利用状況

メディアの進化が加速的なスピードで進む昨今、年齢階層間のメディアギャップが問題視され、注目を集めている。シニアと若年層との間の利用メディアの差は非常に大きく、いわゆる世代間格差(ジェネレーションギャップ)は社会問題化にすらなりつつある。今回は、総務省が2017年7月に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の内容を基に、年齢階層別の主要メディアの利用状況を行為者率の視点から確認する。

次に示すのは主要メディア(雑誌は欠けているが)の年齢階層別平均行為者率を示したもの。「行為者率」とは該当する仕切りの期日、今件の場合は1日単位でその行為をした人の割合を示す。いわば利用者率である。例えば平日・テレビ(生放送)・10代の値は69.3%とあるので、10代で平日1日にテレビを連続で10分以上(調査用紙に「10分以上利用した場合は」、との記述がある)した人は69.3%居ることになる。

↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、平日)
↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、平日)
↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、休日)
↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、休日)

利用者率そのものはテレビが一番多く、(インター)ネットがそれを追い、新聞が続く形。そしてテレビは生放送ではシニア層ほど利用者が多く、録画はどの年齢階層もほぼ同率。ネットは20代がピークだが、50代までは2/3超を維持する。一方で新聞やラジオの年齢階層間格差は大きい。平日の新聞行為者率は10代で2.1%、20代でも6.7%でしかないが、60代では55.4%にまで達している。

ネットとテレビの比較だが、10代から30代まではネットの方が利用者率は高く、それ以降はテレビの方が高い。50代以降は大きな差が出る形でテレビ行為者率が優勢となる。利用した人それぞれがどの位の長さで利用したかはまた別問題だが、少なくとも利用した・しないの区切りでもこれだけはっきりとした、年齢階層別のメディアギャップが見て取れる。

平日と休日の差は?

生活リズムや各種メディアの利用状況において、平日と休日では過ごし方、時間の消費方法は随分と異なる。そこで休日値における平日との差異を算出したのが次のグラフ。

↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、休日値の平日との差異、ppt)
↑ 主要メディアの平均行為者率(2016年、休日値の平日との差異、ppt)

ラジオは休日の方が利用率が低い。これは平日では自宅などで家事などをしながら、あるいは自動車を運転しながら聴いている人が多いが、休日はそれほど「ながら聴取」をする場面は無いことを意味する。またテレビ(録画)が平日と比べて高いが、これは平日録画した番組を、休日の時間がある時にまとめて視聴するライフスタイルをとっていることの表れとなる。

テレビも生放送の利用率は休日の方が一部で高めの値が出ているが、若年層がやや高めで、それ以外はさほど大きな変化はない。この年齢階層向けに、日曜限定でリアルタイムにて観たい番組があるのだろう(例えばニチアサ)。新聞も高齢層では休日の方が読まれているのは、日曜版の存在や、朝食時に時間の余裕ができるからだと考えられる。

メディアとの接触、利用率や利用時間は、個々の世代におけるメディアへのスタンスを推測できる、重要なデータに他ならない。特にメディア周りの技術が著しいスピードで進歩し、普及している昨今では、その変化は他のさまざまな社会事象を検証する上で非常に役立つものとなる。今件調査の継続を願い、その結果発表に期待したいところだ。

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※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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