喫煙率は男性31.1%・女性9.5%…喫煙率の実情をさぐる
健康意識の高まりなどを受け、喫煙をする人は減少中との話がある。その実情を厚生労働省が2017年6月に発表した「国民生活基礎調査の概況」(※)から確認する。
次に示すのは男女別、そして年齢階層別の喫煙率。例えば男性で20~24歳では27.1%との値が出ているが、これは20歳から24歳の男性全体のうち27.1%が喫煙していることを意味する。厳密には今調査では喫煙に関して「毎日吸っている」「時々吸う日がある」「以前は吸っていたが1か月以上吸っていない」「吸わない」「不詳」の選択肢が用意されており、そのうち「毎日吸っている」「時々吸う日がある」の2選択肢を合算して算出している。つまり「回答時点で喫煙している人」の割合である。
男性は全体では31.1%、女性は9.5%となり、男女間の喫煙率は大よそ3倍の違いが生じている。一方で年齢階層別動向を見ると、男性は30代後半をピークとし、以降すこしずつ減退、定年退職前後から減少率が大きくなるのに対し、女性は40代前半をピークとするが、それ以降も減少状況はゆるやかでほぼ均一な動き。男女間で増減傾向に大きな差異が生じているのが興味深い。
男女それぞれで大きく減るタイミングから推測すると、日常生活の上で多忙感を覚える機会が少なくなるにつれ、喫煙率も減り始める感はある。具体的には男性は退職後、女性は子育てを終えて子供が独り立ちをするあたりだろう。実際にたばこを止めた原因の質問は無いので確証は持てないが、喫煙率が大きく減るタイミングで、喫煙者に占める毎日喫煙する人の割合も減る傾向を示していることから、禁煙・減煙が同時期に生じており、たばこが求められる機会が減っていることが推測できる。
男女の値を被せたのが次のグラフ。さらに女性の喫煙率が男性の喫煙率の何%に当たるかを試算したグラフも併記する。
男性と女性で喫煙率のピークが異なること、減退の仕方の違いなどがよく把握できる。喫煙の理由は多種多様、人それぞれだが、男性が30代後半、女性が40代前半でもっとも高い値を示している状況を見るに、ストレス解消の面も多分にあるのだろうなと再確認させられる次第ではある。
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※国民生活基礎調査
全国の世帯及び世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2016年6月2日・7月16日にそれぞれ世帯票・所得票・介護票、所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収できたデータは世帯票・健康票が22万4208世帯分、所得票・貯蓄票が2万4604世帯分、介護票が6790人分。
今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2016年分)は大調査に該当する年であり、世帯票・所得票だけでなく、健康票・介護票・貯蓄票に該当する調査も実施されている。
また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大地震・震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分はデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。