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ネット利用端末とニュースサイトの相性をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ニュースサイトの閲覧なら仕事中でも堂々と……?(ペイレスイメージズ/アフロ)

新しい、あるいは興味関心を覚える情報を取得する際に、新聞やテレビと並んでインターネット上で利用されるのがニュースサイト。ソーシャルメディアの浸透、従来型メディアの進出、動画視聴環境の整備、インターネット利用端末の多様化など、周辺環境の変化に伴い、その利用状況も大きな動きを見せている。今回は総務省が2017年6月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に、インターネット利用端末毎などのニュースサイトの利用動向を確認する。

今件における「ニュースサイト」に関する明確な定義づけは行われていないことから(調査票でも「ニュースサイト」との記載のみ)、回答者の判断で「ニュースサイト」と認識できるもの、つまり一般的に「ニュースサイト」と認識されているサイトが対象となる。個人やグループによる運営サイト、法人格のデジタルメディア企業によるもの、そして新聞やテレビなどの既存メディアが運営するニュースサイトまで含んでいると考えられる。

まず最初に示すのは、ニュースサイトそのものの利用性向。全体ではインターネット利用者のうち55.9%が利用していることになる。

↑ ニュースサイトの利用者(過去1年間でインターネットを利用した人限定、2016年)
↑ ニュースサイトの利用者(過去1年間でインターネットを利用した人限定、2016年)

未成年者の利用率は低く、成人に達すると急激に利用率は上昇。そして30代でピークに達し、以後は漸減していく。この類のグラフでは定年退職を境に大きく値が減るものだが、今件では急激な下落はなく、なだらかな減少度合いに留まる。定年退職を迎えても、少なくともインターネットを利用している人にとっては、ニュースに対する興味関心の減退はあまりないようだ。

これを男女別に見たのが次のグラフ。ニュースサイトの中身、特性別に区分すればもう少し違った値が出るのかもしれないが、今件はあくまでもニュースサイト全般に対する利用性向のため、このような形となった。

↑ ニュースサイトの利用者(過去1年間でインターネットを利用した人限定、2016年)(性別、年齢階層別)
↑ ニュースサイトの利用者(過去1年間でインターネットを利用した人限定、2016年)(性別、年齢階層別)

ピークが30代であることや、その階層での利用率は男女で大きな違いは無いが、それ以降の減退傾向が大きく男女で異なる。男性は70代まで高い値を維持し、80代以上でようやく5割を切る。その80代以上でも4割以上が利用している。

ところが女性は60代以降は大きな減退が生じてしまう。5割を切るのは60代前半、60代後半で3割台となり、80代以上では2割も届かない。女性が経年と共にインターネットのサービス利用そのものに腰が引けていくのではなく、電子メールやソーシャルメディア、商品やサービスの購入・取引では積極的姿勢を見せていることから、単純に中堅層以降の女性とニュースサイトとの相性が良くないことが想像される。あるいはニュースサイトに掲載される主な情報、例えば政治や経済への興味関心が薄れるのが要因かもしれない。

最後は利用端末別。これはそれぞれの端末種類でインターネットへアクセスしている人における、ニュースサイトの利用率を示す。例えばパソコンの値は63.6%と出ているので、パソコンを使ってインターネットにアクセスしている人の63.6%はニュースサイトを利用していることになる。

↑ ニュースサイトの利用者(過去1年間でインターネットを利用した人限定、2016年)(インターネット利用機器別)
↑ ニュースサイトの利用者(過去1年間でインターネットを利用した人限定、2016年)(インターネット利用機器別)

利用絶対数となるとまた別だが、各端末利用者にとっては、スマートフォンやタブレット型端末、そしてインターネット接続テレビとニュースサイトの相性が良いことが分かる。

ちなみに利用者「数」で比率計算をすると、次の通り。

↑ ニュースサイトの利用者(過去1年間でインターネットを利用した人限定、2016年)(インターネット利用機器別)(利用者数比率、パソコンを1.00とした場合)
↑ ニュースサイトの利用者(過去1年間でインターネットを利用した人限定、2016年)(インターネット利用機器別)(利用者数比率、パソコンを1.00とした場合)

インターネット接続テレビや家庭用ゲームはニュースサイトとの相性は良いものの、端末の利用者そのものが少ないため、利用者数も少なくなってしまう次第である。

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※通信利用動向調査

2016年11月~12月に世帯向けは都道府県及び都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に、企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に対し、郵送・オンラインによる調査票の配布及び回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万7040世帯(4万4430人)、2032企業。調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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