10歳未満のスマホ利用は動画視聴が圧倒的
好奇心旺盛な子供達にとって、スマートフォンが魔法のアイテム的存在であることは言うまでもない。その子供達はスマートフォンでいかなるサービスを利用しているのだろうか。内閣府が2017年5月に発表した、低年齢層のインターネットに関わる利用実情を調査した結果報告書(※)から、その中身を確認する。
次に示すのは調査対象母集団のうちスマートフォン(汎用のもの。契約切れやいわゆる格安スマホは除く)でインターネットを利用している人における、その利用内容を複数回答で尋ねた結果。動画視聴をしている人がもっとも多く、8割近くを示す形となった。
次いで多いのはゲームの64.1%。スマートフォン本体に初めからついているものか、アプリゲーム、ウェブゲームなのかまでは問われていないので判断はできないが、スマホでネットにアクセスしている子供の2/3近くはゲームをしていることになる。
知育(言葉、数遊びなど)は3割近く。元々スマートフォンを学習目的で子供に使わせているケースもあることを考えると、この値は相応のものだろう。他方、電子書籍はゼロ。今調査の限りではスマートフォンで電子書籍を読んでいると認識している子供は皆無となる。
コミュニケーション(メールやメッセンジャー、ソーシャルメディアの利用)は6.6%、情報検索は9.0%と、いずれも1割足らず。子供達のスマホによるネットライフは、ほとんどが動画とゲーム、そしてせいぜい知育といった表現が妥当だろうか。
これを年齢階層別に仕切り分けしたのが次のグラフ。各層の回答者数が2ケタのため(ゼロ歳と1歳は1ケタ)、統計的なぶれが生じている部分もある。
統計上のぶれも考慮する必要はあるが、スマートフォンでの動画視聴はゼロ歳から行われている。歳と共にいくぶん下がる傾向はあるが、同じタイミングでゲームの利用率が上がっているので、興味関心が動画からゲームに移るのかもしれない。もっともいずれの年齢でも動画を観る人が5割を切ることはない。
知育はややばらつきがあるが、歳と共に利用率は下がる。他方、コミュニケーションや情報検索などは歳と共に値を増やしていることから、学習的な使い方も少しずつ複雑化していくものと考えられる。
ぶれも合わせ多少の差異はあるが、歳を問わず、動画視聴とゲームがスマートフォンでインターネットを使う低年齢層の主な使い道であることに変わりは無い。子供達にとってスマートフォンは動画を楽しみ、ゲームで遊ぶ、エンタメマシンのような存在なのかもしれない。
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※低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査
2017年1月1日時点で日本全国の0歳から9歳の子供を有する保護者を対象に、同年1月12日から1月30日にかけて行われたもので、保護者による子供の実情などを問う形となっている。調査標本数は2000人、有効回答数は1550人。調査方法は原則調査員による訪問配布・訪問回収法だが、訪問時間などの調整ができない場合に限り、ウェブ調査法や郵送回収法が併用されている(それぞれ11人、26人が該当)。標本抽出方法は層化二段無作為抽出法。