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「貯蓄ゼロ」回答は1割強…社会人1年目での貯蓄や実家への仕送り額の実態

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 何かとお金がかかる新社会人。でも貯蓄もしたい…

中には学生時代からアルバイトなどでそれなりの稼ぎを得ている人もいるが、多くは社会人となって初めてまとまったお金を自分の就業の対価として稼ぎ、生活の上でやりくりをするようになる。食費や居住費のように日常生活に欠かせないための支出に充てられるのが多分となるが、一方で将来に備えて貯蓄をしたり、あるいはこれまでの感謝の意を込めて実家に仕送りをする事例もあるだろう。今回はソニー生命保険が2017年5月9日に公開した、新社会人に対する意識調査結果「社会人1年目と2年目の意識調査2017」(※)を基に、新社会人の貯蓄傾向や実家への仕送り額の実態を確認する。

特別な環境下にない限り、学業との兼業では無く、専業による就業ではじめての稼ぎを得ることになる、新社会人生活の1年目。どれだけの金額を将来のための貯蓄に回せているだろうか。生活環境や就労先の事情、給与水準など多種多様な要因が関わってくるため、条件によって大きな差異が生じ得るが、今件はあくまでも平均的な環境下における結果として話を進めていく。次に示すのは現在社会人2年目、つまり新社会人としての1年目を過ごした人に、実際に貯蓄した額を尋ねた結果である。

↑ 社会人1年目の1年間で貯蓄した金額(2017年)(自由回答)
↑ 社会人1年目の1年間で貯蓄した金額(2017年)(自由回答)

平均額は年間で約43万4000円。詳しい金額区分を見ると、ゼロ円が16.6%も居るのに加え、10万円以下で仕切り分けをすると39.6%と4割近く。生活環境の上で仕方なく、あるいは会社側の積み立てに吸い取られている可能性もあり、また貯蓄性の低い生活用の預貯金口座にはそれなりの金額が収められているはずだが、厳しい生活事情がうかがえる。

他方40万円超から100万円以下の層も33.0%とほぼ1/3に達しており、100万円超も7.2%で、合わせるとほぼ4割。社会人1年生で貯蓄できたか否かは「ほとんどできない」「それなりにできた」と大よそ二分されているようだ。ただし平均額が「それなりにできた」層側にあるところを見ると、自由回答の中には相当の額を貯蓄できた人もいるものと考えられる。

一方、これまで育ててもらった感謝の意を込めて、就業をして自分で稼ぎを得るようになってから、実家の保護者へ仕送りをする事例もある。その金額を尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 社会人1年目の1年間で実家に入れた金額(2017年)(自由回答)
↑ 社会人1年目の1年間で実家に入れた金額(2017年)(自由回答)

平均額は約13万2000円。ゼロ回答は4割超え。見方を変えれば実家に仕送りをした人は58.0%となる。

ゼロ回答が42.0%で1~10万円が23.2%、合わせて65.2%に達しているのにも関わらず、平均額が約13万2000円と比較的高い値を示しているのを見ると、高額の回答者が平均値を底上げしているようだ。もっともこれは年ベースの値で、月額では1万円強となる。ただ初任給で色々と引かれて生活費などを勘案すると、決して少ない額ではないことに違いはない。あるいは初任給以外はボーナスなどまとまった額が手に入った時に、そこから一定額を実家に仕送りしたのだろうか。むしろその方が自然ではある。

無論実家からすれば、気持ちだけでも十分嬉しさを覚えるに違いない。新社会人側もそれを十分理解しているはず。その上で、4割強の人がゼロとの実態は、新社会人の金銭面での厳しさを表しているともいえる。もちろんお金そのものでは無く、良くある「初任給で親にプレゼント」のパターンに代表されるように、何らかの贈り物をしていることも十分あるのだろうが。

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※社会人1年目と2年目の意識調査2017

2017年3月27日から4月5日にかけて、「今春就職した社会人1年生」「就職してから1年経過した社会人2年生」(いずれも20代)に対して携帯電話経由のインターネット調査形式で行われたもので、有効回答数はそれぞれ500人。男女比はそれぞれ1対1。調査協力会社はネットエイジア。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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