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スマホとガラケーの普及率の最新状況をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ガラケーやスマホの普及率はどれほどなのか(ペイレスイメージズ/アフロ)

世帯種類と男女別で

自動車搭載用の電話をベースに単純な持ち運びができる通話用電話機として始まり、ポケットに入るサイズにまで小型化すると共に、インターネットへのアクセスを可能とすることで、機動性の高い情報端末としての役割も果たすようになった携帯電話。昨今では従来型携帯電話に加え、タッチパネル方式で画面も大型化し、アプリケーションの活用によりパソコンに近い機能を有するスマートフォンの浸透普及ぶりが著しい。今回は従来型とスマートフォンそれぞれにおける携帯電話の普及状況について、内閣府が定期的に調査・公開している「消費動向調査」を基に確認していく。

まずは全般的な世帯普及率(質問票では「あなたの世帯で持っている耐久消費財等の数量を記入してください」とあり、保有率をも意味する)。単身世帯はスマートフォン39.7%、従来型44.7%。二人以上世帯はスマートフォン69.7%、従来型(ガラケー)58.6%。案外単身世帯のスマートフォン普及率が低いように思えるが、これはシニア層まで勘案対象のため。

↑ スマートフォン世帯主性別普及率(2017年3月末)
↑ スマートフォン世帯主性別普及率(2017年3月末)
↑ 従来型携帯電話世帯主性別普及率(2017年3月末)
↑ 従来型携帯電話世帯主性別普及率(2017年3月末)

スマートフォンは世帯種類を問わずで男性の方が普及率が高い。一方従来型は単身世帯では女性、二人以上世帯では男性の方が普及率が高い結果が出ている。世帯ベースの話ではあるが、二人以上世帯では過半数どころか7割近くがスマートフォン持ちで、従来型携帯電話の普及率を超える状況が確認できる。一方単身世帯ではまだなお従来型携帯電話の方が普及率は上。

続いて「保有世帯あたりの」平均保有台数。「保有の有無を問わず全世帯に対する保有台数」では無いので注意が必要。保有実態を把握するには、この値の方が理解しやすい。

↑ スマートフォン世帯主性別・保有世帯あたり平均保有台数(2017年3月末)
↑ スマートフォン世帯主性別・保有世帯あたり平均保有台数(2017年3月末)
↑ 従来型携帯電話世帯主性別・保有世帯あたり平均保有台数(2017年3月末)
↑ 従来型携帯電話世帯主性別・保有世帯あたり平均保有台数(2017年3月末)

「単身世帯」はスマートフォンも従来型携帯電話もほぼ1台。本人自身しか世帯におらず、同居人の分をカウントすることもない。

一方「二人以上世帯」ではそれぞれの機種毎に1.5台から2台ほどの保有状況にある。回答者(世帯主)に加えて配偶者、さらには子供の保有もあるため、その分がカウントされる事例が多い。当然、本人などが複数台保有の場合もあるだろう(今件が回答者個人のみの普及率ではなく、回答者が居る世帯の世帯普及率であることに注意)。

性別、年齢階層別で細分化

続いて年齢階層別保有率。さらに年齢階層の区分は大まかなまとめになるが男女別の値も用意されているので、それぞれを確認していく。まずは単純な年齢階層別普及率。

↑ スマートフォン世帯主年齢階層別普及率(2017年3月末)
↑ スマートフォン世帯主年齢階層別普及率(2017年3月末)
↑ 従来型携帯電話世帯主年齢階層別普及率(2017年3月末)
↑ 従来型携帯電話世帯主年齢階層別普及率(2017年3月末)

双方機種で二人以上世帯の方が普及率が高いのは上記で説明した通り、世帯構成人数の問題。またスマートフォンは若年層、従来型は高齢層の方が普及率が高い。

30歳未満でも単身世帯では2割近く、二人以上世帯でも2割強は今なお従来型を保有しているが、スマートフォンはそれぞれ9割強の普及率に達している。全体におけるスマートフォンの普及率は単身で39.7%、二人以上世帯で69.7%であることは上記で記した通りだが、多分に中堅層以降の普及率の低さが全体値の頭を押さえているのが分かる。

続いて男女別に区分した場合。

↑ スマートフォン世帯主性別・年齢階層別普及率(2017年3月末)
↑ スマートフォン世帯主性別・年齢階層別普及率(2017年3月末)
↑ 従来型携帯電話世帯主性別・年齢階層別普及率(2017年3月末)
↑ 従来型携帯電話世帯主性別・年齢階層別普及率(2017年3月末)

スマートフォンでは大よそ女性より男性の方が高い値を示している。他方従来型携帯電話では単身世帯に限ればどの年齢階層でも女性の方が上。興味深い値動きではある。

世帯年収別では?

最後に世帯年収別普及率。携帯電話の種類別で大きな違いが確認できる。

↑ スマートフォン世帯年収別普及率数(2017年3月末)
↑ スマートフォン世帯年収別普及率数(2017年3月末)
↑ 従来型携帯電話世帯年収別普及率数(2017年3月末)
↑ 従来型携帯電話世帯年収別普及率数(2017年3月末)

従来型携帯電話は単身世帯では低年収ほど低普及率だが、二人以上世帯では年収で大きな違いは無い。むしろ低年収の方が高い普及率を示している。

一方でスマートフォンでは単身・二人以上世帯共に大よそ高年収ほど高普及率の傾向にある。金銭的な余裕が生じるに連れて、世帯主自身、あるいは配偶者や子供にスマートフォンを持たせようとの気概、あるいは要望を叶えられる余裕が出てくるのだろう。見方を変えれば、スマートフォンは従来型と比べてコストが多分にかかるため、金銭的な余裕が無いと保有が難しいとの推論が導き出される。

現在、携帯電話は猛烈な勢いで従来型からスマートフォンへのシフトが進んでいる。しかし単純な通話やシンプルなインターネットアクセス機能で十分とする使い方、需要(コストパフォーマンス的な意味合いも含め)ならば、従来型携帯電話は今なおベストな端末に違いは無い。また子供の防犯用携帯電話としても、従来型携帯電話は重宝されている。

今後もスマートフォンへのシフトは進み、普及率も年々底上げされていく。一方で従来型携帯電話の普及率は漸減を示すことになるが、一定数は維持されるに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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