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カラーテレビを買い替えた世帯はどれほどいるのだろうか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ テレビの性能は向上中だがずっと使い続けるとも限らず…(写真:アフロ)

耐久消費財とは長持ちをする消費財、具体的には乗用車やテレビ、パソコン、冷蔵庫などを指す。長持ちをするとはいえ一生同じものを使い続けることは無く、引越しの機会に合わせ、故障で修理するよりは新規購入した方が良いと判断し、あるいは新機種への乗り換えが望ましいとの理由で、買い替えをすることになる。今回は内閣府が2017年4月に発表した「消費動向調査」の内容を基に、世間一般において、どれほどの世帯が耐久消費財の一つであるカラーテレビの買い替えをしたのかを確認する。

「消費動向調査」では2014年分から、耐久消費財の買い替えをした世帯の具体数を開示している。これと各属性の調査対象母集団世帯数から、その年において対象となる耐久消費財の買い替えを行った世帯比率が算出できる。

ここで注意しておくべきことは、次以降の値が「該当年に買い替えをした経験がある世帯」を意味するのであり、買い替え個数などは考慮されていない点。例えば1世帯で複数台のテレビの買い替えをした場合でも、世帯上では1世帯の買い替えと見なされる。また、耐久消費財の調達には買い替え以外に新規購入の事例もあるため、各値がそのまま対象の耐久消費財の需要の増減と連動するとは限らない(もちろん多分に類似連動性は考えられる)。今件は各対象耐久消費財の買い替え動向を推し量る指標である。

まずはカラーテレビの買い替えをした世帯比率。例えば2017年は5.6%とあるので、全世帯のうち5.6%がカラーテレビを買い替えしたことになる。台数は問わず、新規購入は別勘定。

↑ カラーテレビ買替世帯率(総世帯、世帯単位)
↑ カラーテレビ買替世帯率(総世帯、世帯単位)

2014年は消費税率引上げ前の駆け込み需要の恩恵を受けてか、買い替え率はいくぶん高め。それ以降は毎年買い替え世帯数比率は漸減している。地デジ導入前後の値を知りたいところだが、残念ながら「消費動向調査」の2013年以前のデータでは該当値は存在しない。

これを買い替え理由別に細分化すると次の通りとなる。

↑ カラーテレビ買替世帯率(総世帯、世帯単位)(買い替え理由別)
↑ カラーテレビ買替世帯率(総世帯、世帯単位)(買い替え理由別)

2014年における税率アップ前の駆け込み需要の場合は多分に「その他」が該当する事になるが、それを理由に買い替えをした世帯は「全世帯のうち」2.2%。大よそ45世帯に1世帯が該当する。やはりテレビは故障による買い替えが多く、直近の2017年では全世帯のうち3.6%が故障を理由に買い替えている。

最後は直近となる2017年における世帯(主)・主要属性別の買い替え率。例えば29歳以下の値は4.0%とあるので、29歳未満の世帯主(単身世帯も含む)の世帯では、4.0%の人が過去1年間にテレビを買い替えたことになる。

↑ カラーテレビ買替世帯率(総世帯、世帯単位、属性別、2017年)
↑ カラーテレビ買替世帯率(総世帯、世帯単位、属性別、2017年)

属性別では男性世帯主の報が買い替え率は高い。また年収別では差異は見られないが(1200万円以上が突出しているのは少数値によるイレギュラーだろう。該当世帯数は19世帯のみ)、世帯主の年齢階級別では若年層は低め、中堅層以降は高齢世帯ほど買い替え率が高いように見える。やはりテレビに関する需要は歳を経るほど高まるようだ。

テレビの高性能化に伴い、利用年数も伸びており、今後はテレビの買い替え需要(新規購入も合わせた単純な需要を意味しない)も逓減してくる可能性がある。来年以降も逐次データを収集し、その経年変化から、カラーテレビの需要の一側面を推し量りたいものだ。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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