米産、カナダ産、タイ産、そして中国産…外国産食肉や加工肉への想いの中身
外国産の食肉は今や食生活には欠かせない存在となるまでに浸透している。一方、数年前にファストフード業界に大きな影響を与えた中国産鶏肉問題や、それ以前の冷凍食品問題、さらにはBSE問題など、購入・消費する側としては、何かと気になる事案も少なくない。今回はJC総研が2017年4月に発表した畜産品などの消費性向に関する調査結果(※)の概要をもとに、消費者における外国産食肉や加工肉にどのようなイメージをいだいているかの実情を確認していく。
今調査の該当項目では主要な外国産肉・加工肉を挙げ、それらに関するイメージを表現する項目について、同意できるか否かを複数回答で答えてもらっている。
まずは安全面。「安全である・安心である」「安全面で心配」との問いに同意できる人の結果は次の通り。いずれも回答していない人は、該当の食肉に対して安全・安心面に関してあまり明確なイメージを有していないことになる。
安全面でもっとも頼りにされているのはオーストラリア産の牛肉で24.4%。次いでカナダ産の豚肉が11.5%、続いて米国産の牛肉10.7%。ブラジル産やタイ産、中国産は比較的値が低い。
他方心配との意見がもっとも多いのは中国産の鶏肉調整品で34.6%。焼き鳥などが該当するが、先のファストフードチェーン店における問題もあり、極めて高い値が計上されている。次いでタイ産の鶏肉調整品、米国の牛肉が続く。
中国産の鶏肉調整品に関しては、例の事案が発覚した2014年より以前から安全面に対する懸念は強かった。一連の社会的な動きは、元々有していた不安があり、事案が実行動に移るきっかけとなったと見れば道理は通る。
2014年はわずかに事案に影響を受けた動きを示したが、大勢には変化はない。むしろ事案を頂点として心配感は減退する動きすら示している。
続いてコストパフォーマンスの観点から。
品質の良さ、美味しさ共にトップはオーストラリア産の牛肉。価格が高いとの回答率も低く、非常に優秀な食肉であるとの結果が出ている。値そのものはやや劣る、品質の良さが美味しさに追いついていない点もあるが、米国産がそれに続いている。
品質の良好さと美味しさの回答はほぼ連動する形となっているが、興味深いのは米国産とブラジル産、タイ産で品質への好感触がさほど高くないにも関わらず、美味しさの観点では高い回答率が出ている(両者の差が大きく開いている)こと。品質はさておき、利用者の味覚にあったものと受け止められているのだろうか。
他方イタリア産やスペイン産は高品質で美味しいものの、価格がお高めとの回答が出ている。精肉コーナーなどで見かけるこれらの食肉や、実食した限りでは大いに納得のいく回答率ではある。
最後は需要面。
食べたいとの積極的肯定意向をもっとも強く持たれているのは、オーストラリア産の牛肉で10.1%。次いで米国産の牛肉6.1%、カナダ産の豚肉が4.7%と続く。逆に食べたくないとの意見では中国産の鶏肉調整品が一番高い値を示しており40.5%。上記の通り両極的な選択肢の双方に回答しなかった人は明確なイメージを持たないだけの話だが、そのような状況下でこれほどまでに高い値が出ており、同肉に対する距離感を改めて実感させられる。
外国産食肉の選択に関して、実際の需要消費量に対し好意的な選択肢の回答率がやや低いのが目に留まる。これは一つに上記の通り「明確な意図、イメージを持たない」のが理由。そしてもう一つは国産品の食肉を好むのが原因ではある。今調査の別項目で、精肉購入時の重視点を答えてもらう設問があるが、そのトップは常に「国産であること」。牛肉、豚肉、鶏肉に関わらず、である。
国産信仰との表現はやや行き過ぎかもしれないが、改めて国産肉の人気の高さがうかがいしれよう。
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※畜産品などの消費性向に関する調査
直近分は2016年11月11日から16日にかけて全国の既婚女性・既婚男性・単身女性・単身男性に対してインターネット経由で答えてもらったもので、有効回答数は2295人。男女比率は1128対1167、世代構成比は20代以下から10歳区切り(70代は70代以上)で196人・338人・369人・366人・467人・559人。