2016年は前年比12万人減少で155万人…フリーターの推移と現状

↑ 店舗等で働くアルバイトの人も少なからずはフリーター(写真:アフロ)

1980年代から1990年代にかけてバブル時代を背景に、在学中で無くパートやアルバイトで生計を立てるライフスタイル・就労状態を示す「フリーター」(時間を自由にとれる「フリー」な、アルバイトをする人「アルバイター」を意味する、2つの言葉を合わせた造語)なる言葉が生まれ、注目を集める時代があった。当時は高給を稼ぎ自由な生活を営むとの観点から、自由人的な生き方として半ば持てはやされてはいたが、昨今では職業、そして生活の上での不安定さから、避けるべき状況を意味する場合が多い。今回は総務省統計局が2017年2月に公開した、2016年分となる労働力調査(詳細集計)の速報結果を元に、「フリーター」の現状推移を確認していく。

2016年分の労働力調査の結果値によれば、2016年における若年層(15~34歳)のフリーター、今調査においては「パート・アルバイト及びその希望者」(厳密には「男性は卒業者、女性は卒業で未婚の者」で、「パート・アルバイトとして雇用されている」「完全失業者で探している職種がパートかアルバイト」「非労働人口で、家事も通学もしていない人のうち、就業内定をしておらず、希望する仕事の形式がパート・アルバイト」のいずれかに該当するものと定義づけている)は155万人、昨年比で12万人の減となった。

↑ 「若年層のパート・アルバイト及びその希望者(完全失業者+非労働人口)」(いわゆるフリーター)の推移(万人)
↑ 「若年層のパート・アルバイト及びその希望者(完全失業者+非労働人口)」(いわゆるフリーター)の推移(万人)

フリーターは若年層そのものの人口減少に加え、該当する層の雇用受け皿として「派遣社員」に(ネガティブな意味での)注目が集まったことなどから2004年以降は減少傾向を見せていた。フリーターの存在そのものが社会問題化したのも大きな要因の一つではある。しかし2009年には再び増加に転じ、2011年に至るまでその動きは継続していた。2012年以降はやや起伏を繰り返しながらも、全体としては微減の傾向にある。特にここ数年に限れば、減少度合いは大きさを増している。

2009年以降3年ほどフリーターが増加した背景には、いわゆる「派遣叩き」で非正規雇用者のうち派遣社員の受け皿の減少が継続していたことが挙げられる。定義の通り派遣社員ならばパート・アルバイトでは無いのでフリーターには該当しない。また、企業側の対応の変化も影響しているものと考えられる。つまり就労側も企業側も、派遣社員の減少分の一部がパート・アルバイトにシフトした次第である。

一方2013年以降は景況感の変化に伴い、労働市場の大幅な改善と非正規社員へのシフトトレンドが続いており、契約社員ですらも増加を示している。パート・アルバイトの需要も増加しているが、完全失業者も減っていることから、全体としてのフリーターは減少傾向を示す形となっている。

昨今ではフリーターの高齢化が指摘されているが、今公開値でもそれが顕著化しているのが確認できる。

↑ 年齢階級別にみた「若年層のパート・アルバイト及びその希望者(完全失業者+非労働人口)」(いわゆるフリーター)の推移(万人)
↑ 年齢階級別にみた「若年層のパート・アルバイト及びその希望者(完全失業者+非労働人口)」(いわゆるフリーター)の推移(万人)

15~24歳までの年齢階層では「フリーター」の減少が2004年から確認されている。また、フリーター全体の減少過程においても、減少率・減少数共に15~24歳層の方が大きい。特に注目すべきなのは2006年から2007年の区切りで、2002年(公開値が確認できる最古の値)以降ではこの年ではじめて「15~24歳層」と「25~34歳層」の人数における逆転現象が起きている。今後さらに高齢化、言い換えれば「25~34歳層」の割合が増加していくだろう。

2016年では前年比で「15~24歳層」は7万人減少、「25~34歳層」は5万人減少した。現状でもなお25~34歳層が15~24歳層を大きく上回っている状況に変わりはない。この人達の立ち位置に変化が無ければ今後、さらに上の年齢階層の「35~44歳層」において、いわゆる「高齢フリーター」へとシフトすることになる(2016年における「35~44歳層」の「高齢フリーター」は60万人で前年から3万人増加した)。

ちなみに男女別では男性よりも女性の方が「フリーター」の、若年層人口全体に占める比率は高い。直近年では男性は5.6%、女性は6.5%との値が出ている。

↑ 「若年層のパート・アルバイト及びその希望者」(いわゆるフリーター)の若年層人口に占める割合の推移
↑ 「若年層のパート・アルバイト及びその希望者」(いわゆるフリーター)の若年層人口に占める割合の推移

2016年の動きとしては、女性のフリーター率の大幅減少、男性の減少が読み取れる。特に女性の減少度合いは著しく、前年分と合わせると1.2%ポイントも低下している。それでもまだ全体では、大よそ該当する年齢階層の17人に1人はフリーターという実情ではある。

フリーターそのものに対する評価が賛否分かれる、そして当人の価値観の問題でもあるため一概に言い切ることは難しいものの、フリーター数の減少は悪い話ではない。他方、フリーターの高世代層(25~34歳)が引き続き高水準にある状況は、そのまま「高齢フリーター」の増加に容易につながりうるだけに、十分な留意が必要になる。

当人たちがそのライフスタイルを望むのなら、それもまた個人の生き方であり、他人の干渉は許されない。他方、歳を重ねてから、例えば34歳を超えて世間一般の「フリーター」の枠組みから外れた際に、どのようなライフプランを持っているのか、それを考えると疑問と不安が頭をよぎる。

なお35歳以上の同様な立ち位置にある人たちは、少なくとも労働力調査では「フリーター」とは呼んでいない。しかし就業環境・財政面で同じ状況にあることに違いは無い。35歳になったから「フリーター」と呼べなくなっただけで、突然就労状況が一気に改善するはずは無い。「高齢フリーター」(一部では「中高年フリーター」「壮齢フリーター」とも呼ぶ)との言い回しとその実状は、今後フリーターと共に大いに注目を集め、一般化するに違いない。

■関連記事:

高齢フリーターの推移をグラフ化してみる

高校中退者、就労率は56.2%・7割以上はフリーター