米中ロ韓への日本人の親近感、現在はどのような状況なのか
日本と深い関わりのある国々に、日本人自身はどの程度の親近感を有しているのか。内閣府の外交に関する世論調査(※)をもとに、性別や年齢階層別の現状を確認していく。
今調査の該当項目では諸外国、あるいは地域毎に親しみを抱いているか否かに関して、「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」「分からない」「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」の5選択肢を提示、その中から自分の心境にもっとも近いもの一つを選んでもらうことで、該当国への親近感を推し量っている。
そこでそのうち「親しみを感じる(強)」「どちらかというと親しみを感じる(弱)」の動向を、主要国として今回抽出したアメリカ合衆国、中国、ロシア、韓国について、性別と年齢階層別に計上しグラフ化したのが次の図。「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」は設問した意図に該当しないまでの話で、単に「親しみの対象にはならない」との意志表示でしかなく、「無関心(「分からない」ではない)」「嫌い」の双方が該当しうるため、比較の意味合いは薄いことから、今回は検証から除外している。
4か国のグラフにおいて縦軸の仕切り分けはすべて統一してあるため、個々の国に対し有している親近感の度合いが容易に比較できるようになっている。
アメリカ合衆国に親近感を持つ人は属性でさほど違いは無いが、女性よりは男性、若年層よりは高齢層の方が強い親しみを覚えている。強弱合わせた親近感の合計値が一番低い属性は70歳以上だが、それでも8割を維持している。
他方、全体値で最低値を示した中国では、18歳から20代の値が高く、31.1%。強い親近感も5.0%と、各年齢階層では最大値を示している。男女別では男性より女性の方がやや高め。低迷の理由はウクライナ情勢や中東での挙動が原因ではないかとの指摘もあるロシアだが、親近感の合計値は中国より高めにあるものの、強い親近感ではむしろ中国より低い値に留まっているのが特徴的。
興味深い動きを示しているのは韓国。属性別で明らかに女性、若年層の親近感が高い。若年層が高めに出るのは他国でも見受けられるが、強度の親近感が18歳から20代において突出する形で高い値を示しているのは、数年前までブームだった「韓流」「K-POP」などの影響が、まだこれらの層に根強く影響していることがうかがえる。
強弱を問わずに親近感を覚える層を合算し、それぞれの国の属性別動向をまとめたのが次のグラフ。
アメリカ合衆国の安定した高さ、中国とロシアは実のところ僅差状態にあるが、男性や高齢層の親近感が差をつけていること、韓国の特異性(女性の親近感の突出した高さ)などが改めて確認できる。あくまでも総合的な評価として親近感を覚えるか否かではあるが、日本の対外施策や社会的事案の検証の際に、指標の一つとなる動向には違いない。
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※外交に関する世論調査
毎年実施・公開しているもので、直近分となる2016年分は2016年10月27日から11月6日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた人に対し、調査員による個別面接聴取法によって行われた。有効回答数は1804人。男女比は848対956、世代構成比は10代28人・20代133人・30代206人・40代304人・50代281人・60代383人・70代以上469人。