ネット利用者の1/4はゲームプレイヤー…オンラインゲームの利用実情
ネット利用者の1/4強がオンラインゲームで遊んでいる
インターネットの普及と、窓口のパソコンやスマホの浸透で、大きく様変わりしたゲーム業界。今やその一翼どころか主力と評価できるオンラインゲームの利用実情を、総務省が2016年8月に詳細値を発表した「通信利用動向調査」の公開値を基に確認する。
次に示すのは2015年末時点で過去1年間にインターネットを利用したことがある人において、オンラインゲームをプレイしたことがあるか否かを尋ねた結果。ここにおけるオンラインゲームとは「インターネットを利用し、多人数で同時に同じゲーム進行を共有することができるゲーム」と説明されている。多人数同時参加型ネットワークロールプレイングゲームの類に限らず、ソーシャルゲームなども該当すると見て良い。また全部無料でプレイできるものに加え、有料制のもの、そして基本は無料だが特殊な環境や設定を利用する場合には課金を行う(例えばアイテム課金)もすべて含まれる。さらに機種は特定していないので、パソコンでもスマートフォンでも家庭用ゲーム機でもかまわない。
全体では25.2%。インターネットを利用している人の1/4強は、オンラインゲームを利用している。全般的には女性よりも男性が積極的に利用しており、世代別では男性は中学生から高校生ぐらいでピークに達し20代まで高値が続くが、30代以降は利用率も減っていく。男性は中高生の時がピークだが、20代までほぼその値が継続する一方で、女性は20代に入ると早くも値を減らし始める。男女間のオンラインゲームへの熱中ぶりの違いがよく表れている。50代に入ると利用者は1割程度にまで減り、高齢層になると数%程度にまで値は落ち込む。
世帯収入別ではさほど差異は出ていないものの、高年収の方が高めの値が出ている。200万円未満の世帯では2割を切るが、600~800万円世帯では3割近くにまで上昇する。
これが有料のオンラインゲーム、具体的には月極めの料金制以外に基本無料だがアイテムやアバターなどへの課金なども含む、となると利用率は大きく下がる。全体では4.7%で、インターネット利用者の1/20程度しかない。なお元データでは「小中学生は自前のお金でインターネット経由の買物はしない」との前提にあるようで、原則利用は15歳以上(高校生以上)となっており、6~12歳と13~19歳の区分の値は存在しない。
単なるオンラインゲームの時と比べて男女差が激しく出ている。男性のピークは20代で12.9%、30代でも11.8%が利用しているが、女性は30代がピークでそれでも6.8%に留まっている。興味深いのは世帯年収でほとんど差異が生じていないこと。5%内外に留まっている。年収が高い≒懐事情に余裕があることから、ゲーム課金なども積極的に行うようなイメージがあるのだが。
ネット利用者限定では無く全体比ではどうだろうか
上記の各値はインターネット利用者に占める割合。実際には歳を経るに連れてインターネット利用率そのものも減退していくので、世間一般との認識にはいくぶんのずれが生じている。そこで調査対象母集団全体として、各属性全員に対する比率を求めたのが次のグラフ。例えば男性20代は50.2%とあるので、インターネットを利用している人、していない人も合わせて男性の20代全員のうちほぼ半数はオンラインゲームをしている計算になる。
全体では19.4%、男性は2割強、女性は1割強。世間へのゲーム浸透度を推し量るのにはこちらの値の方が適切かもしれない。男性は中高生から20代までは5割を超え、40代で1/4にまで落ちる。男性では大よそ40代と50代がプレイヤーとしての境目だろうか。
女性も男性とはあまり変わらない増減を見せるが、基本値そのものが10%ポイントほど低い。ピークは中高生から20代で3割強。30代以降はほぼ同じような減退ぶりを見せていく。
世帯年収別では600~800万円未満がピークで、あとはほぼ横ばい。2000万円以上が低い値を示しているのは、同時に高齢層が多く属しているため。
有料オンラインゲームに限定すると、さらに属性別の差が明確化される。
全体では3.6%、大よそ28人に1人の割合。男性は20代がずば抜けて多く12.5%の値を示しているが、これも30代で11.3%に落ち、40代までが比較的情熱的なプレーをしているように見えるものの、50代以降は誤差の範囲。女性も実質的には高校生から40代までだが、利用率そのものは男性と比べてかなり見劣りする。課金制ゲームの類は男性の方がお熱のようだ。
世帯年収別ではオンラインゲーム全体同様に、600~800万円未満がピークであとはほぼ横ばい。とはいえ、最大の利用率でも4.9%、最低でも1.8%。年齢階級ほどの差異は無い。
昨今ではオンラインゲームといえばスマートフォンを用いたものが世間一般によく知られている。基本無料でアイテムなどによる課金制のシステムがメインだが、スマートフォンそのものの利用者数が多く、カートリッジや光磁気ディスクのようなメディアによる提供ソフトと比べてアプリケーションによる提供のため購入しやすいこともあり、流れに乗れば利用者は万単位のものとなり、売上も大きなものとなりうる。セールス的に優れたタイトルを生み出すことができれば、会社を立て直すこともできるほど。
通販や交通地図と異なり、生活の上での必需性は無いため利用率は限られたものとなってしまうが、それでも現状はまだまだ伸び代があるようにも見える。例えば「ポケモンGO」のような、より幅広い層が興味関心を抱くタイトルの創生が求められよう。
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