スマホ傾注、パソコン離れ…1年で大きく変わる小中高校生のデジタル機器利用実情
スマホとタブレット型端末は利用率が増加中
加速度的なスピード感で変化するデジタル機器環境は、大人はもちろんだが子供達の界隈にも生活上の変化をもたらしている。実際にどの程度の速さで進んでいるのか、内閣府の調査「2015年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(満10歳から満17歳までの青少年対象)の結果をもとに確認していく。
次に示すのは小中高校生全体における、デジタル機器の利用状況に関する、2014年から2015年の変移。両年で同一対象を調査したわけではないが、この1年で各機器の普及利用率がどのような変化を遂げたのかが分かる結果が出ている。なおpptとは%ポイントのこと。
スマートフォンは通常版のものが大きく伸び、格安スマホなどもそれなりの増加。他方、従来型携帯電話は一様に下げ。パソコンも大きく下げているが、元々普及率が低かったデスクトップパソコンよりもノートパソコンの方が下げ幅は大きい。タブレット型端末は通常版が大きく伸びているが、学習用や娯楽用の普及率は低下。特化型よりも汎用型の方が好まれているようだ。
ゲーム機などインターネットの利用が一義的なものではないデジタル機器では、インターネットテレビ以外は下げている。携帯音楽プレイヤーの減少も多分にスマートフォンへのシフトが想定される。またゲーム機では携帯ゲーム機がほとんど変わらないのに対し、据え置き型ゲーム機が2.2%ポイントも減少しており、ゲーム機業界の実情を再確認させられる。
学校種類別でも違いが
今件を小中高の学校種類別に仕切り直した上で確認したのが次のグラフ。
スマートフォンは特に小学生の間で普及が加速している。従来型携帯電話の減少ぶりは中学生の方が上であることから、はじめて保護者から貸し与えられる電話がスマートフォンとのケースが増えているのだろう。「若者のパソコン離れ」的な動向は、ノートパソコンでは中学生、デスクトップパソコンでは高校生で進んでいる。元々パソコンは両タイプとも上の学校種類ほど高い利用率を示しているのだが、中学生はノート、高校生はデスクトップの方が手放す人が多い。
タブレット型端末は小中高共に大きく飛躍しているが、特に小学生の利用状況の伸びが著しい。前年比で7.0%ポイントもの上昇を示している。他方携帯音楽プレイヤーは中学生を中心に敬遠される動きが見受けられる。
ゲーム機では小学生が一番据え置き型の利用率が減少している一方で、携帯ゲーム機はむしろ上昇している。ただし中高生は種類を問わず前年から減っており、「ゲーム機離れ」「据え置き型から携帯型へ」の動きが同時に生じていることが分かる。スマートフォンの利用率の変化と合わせて見ると、色々と納得できる部分が多い。
購買力が一番大きく、成人にもっとも近い立ち位置の高校生に限り、機種を細分化した上で動向を確認したのが次のグラフ。
スマートフォンの利用率は元々高いため伸び方は今一つ。他方、格安スマホも確実に利用する人が増えている。
パソコンはノートパソコンよりもデスクトップパソコンの利用をする人の減少ぶりが大きい。すでに利用率はノートがデスクトップを上回っているにも関わらず、さらに減少度合いに差が出るほどの動きを示している。パソコン離れの中でも、特にデスクトップパソコン離れが進んでいることが確認できる。
タブレット型端末は通常のものが大きく増加。一方でゲーム機などは大よそ減退。ゲーム機でゲームをしたりパソコンで色々とネット界隈を楽しむよりも、スマートフォンやタブレット型端末に特化した形でインターネットを利用する高校生の増加が想起されよう。
今件は1年間における変化を算出したものだが、わずか1年でここまで大きな変化が生じていることから、子供達の間でデジタル機器の利用状況がダイナミックな動きの中にあることが理解できる。ほんの数年前までは思いもつかなかったような状況に違いない。スマートフォンの伸張、タブレット型端末の静かな普及、ゲーム機やパソコンからの距離の拡大は、今後も続くだろう。
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