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牛肉と豚肉、どちらが良く食されているのか(重さ編)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 昔ながらのお肉屋さん。何が一番買われているのか

先日、精肉の牛豚鶏の地域別消費性向を、総務省統計局が定期的に調査を実施しその結果を報告している「家計調査」の公開値をもとに家計の消費額の観点で精査し、大よそ「西牛東豚」との現状が確認できた。しかし重量単価では牛肉がはるかに上。重さの観点ではどのような状況なのだろうか。その実情を探る。

各種値の取得元は「家計調査」に違いないが、対象世帯は全世帯を意味する総世帯では無く、「二人以上の世帯」を対象とする。本来なら総世帯の値を用いることで世情全体の動向を推し量るのが筋ではあるが、「家計調査」では総世帯と単身世帯において分量の調査が行われておらず、値の抽出は不可能となっている。ちなみに「購入数量」の単位はグラム、「平均価格」は100グラムあたりの価格と定められている。

まずは大まかな状況確認のため、牛肉・豚肉・鶏肉の大よその相場を東京都区部の値で示しておく。

↑ 東京都区部での主要肉価格(100グラムあたり/円、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 東京都区部での主要肉価格(100グラムあたり/円、2015年、家計調査年報・家計支出編)

部位や市場、産地、販売地域など多様な条件で変動はあるが、大よそ種類毎にこの程度の価格差が出ている。やはり牛肉は高め、豚肉の2倍以上。

続いて「牛肉」「豚肉」「鶏肉」それぞれの、年間購入(消費)量上位10位の都道府県庁所在地をグラフ化し、状況を確認する。世帯単位での年間消費量を示したもので、例えば牛肉消費量トップの松山市なら、二人以上世帯限定だが2015年の1年間で1世帯あたり平均10.9キロを消費したことになる。

↑ 都道府県庁所在市別・二人以上世帯における年間牛肉消費量トップ10(グラム、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・二人以上世帯における年間牛肉消費量トップ10(グラム、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・二人以上世帯における年間豚肉消費量トップ10(グラム、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・二人以上世帯における年間豚肉消費量トップ10(グラム、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・二人以上世帯における年間鶏肉消費量トップ10(グラム、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・二人以上世帯における年間鶏肉消費量トップ10(グラム、2015年、家計調査年報・家計支出編)

個々の精肉の比較なら、「西日本は牛肉」「東日本は豚肉」「九州は鶏肉」との構図は金額編からほぼ踏襲している。また各グラフの横軸の区分を見れば分かるが、分量的には全般として「豚肉」>「鶏肉」>「牛肉」となっている。重量当たりの単価は鶏肉が一番低いが、鶏肉の消費量が一番多いわけでは無い。

もちろん「地域によっては豚肉以上に牛肉が(重量の観点で)食べられているところもあるかもしれない」との疑問がわいてくる。しかし今データの限りではそれは皆無だった。残るは「豚肉」と「鶏肉」のどちらが多く食べられているか。つまり主要精肉3種類のうち、「豚肉」ではなく「鶏肉」が分量面でもっとも多く食べられている地域はあるのか否かが焦点となる。

そこで実際に「豚肉」と「鶏肉」の購入消費量を比較し、「鶏肉が豚肉より多く食されている」(=主要3種精肉では量の上で鶏肉を一番多く食べている)地域を抽出し(該当する都道府県庁がある地域)、日本地図に反映させたのが次の図。図版の作成には「白地図ぬりぬり ver.δ」を利用している。

↑ 都道府県別・「豚肉」「鶏肉」の年間消費(購入)分量の高低(2015年)
↑ 都道府県別・「豚肉」「鶏肉」の年間消費(購入)分量の高低(2015年)

大体九州から中国西部に集中していることが分かる。この地域は唐揚げ文化が活性化しており、結果として消費分量が多いのも納得できる。例えば「鶏肉」の最多消費量を誇る岡山市と東京都区部の消費量を比較したのが次のグラフ。

↑ 主要三精肉年間消費量(グラム、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 主要三精肉年間消費量(グラム、2015年、家計調査年報・家計支出編)

単純計算で福岡は東京の1.46倍。岡山の人がいかに鶏肉を愛しているかが、改めて理解できる次第ではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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