コーヒーや牛乳などの飲料の利用動向を探る
前年比で一層飲まれる飲料たち、ただし牛乳は…
喉の渇きをいやすだけでなく、食事の際にも欠かせない各種飲料。その利用性向について世帯ベースの視点から、総務省の継続調査「家計調査」の公開値をもとに確認していく。
次以降のグラフは家計調査報告(家計収支編)の「二人以上の世帯」「単身世帯」の公開値から、必要なデータを抽出して生成したもの。双方区分の世帯を合わせた「総世帯」では無く、別個で確認するのは、それぞれの世帯種類で消費性向が大きく異なるから。またグラフ中や文中に登場する「購入世帯数」「世帯購入頻度」などの言葉の意味は次の通り。
「購入世帯数」…純粋に購入者が一人でも居た世帯の割合。1世帯内で複数の人が購入していても、購入世帯としては1件としてカウント。
「世帯購入頻度」…世帯単位での購入頻度。例えば構成員の誰かが特定期間に2回該当商品を購入すれば、その世帯の該当期間における購入頻度は200%になる。非購入世帯も含めての計算。
まずは月次の購入頻度。「世帯単位での動き」であることに注意が必要。「単身世帯」は当然本人自身のみ、そして「二人以上世帯」の場合は夫か妻の片方どちらか、さらには子供が購入しても(子供の小遣いでの調達までは「家計」にカウントされないので、「世帯全体のお財布から買った」ものだけ)「購入世帯」として該当する。
「牛乳」の購入頻度が「二人以上世帯」では月4.3回ほどと、「単身世帯」の2倍以上の値を示している。これは「健康のため」と高い頻度で子供に飲ませているのが原因と考えられる。また、複数人数では500ミリリットル・1リットルの紙パックでも消費されやすい=購入頻度が高まるとの事情も容易に想像ができる。仮に大人子供を問わず1日200ミリリットルを飲む場合、1リットルの紙パックは単身世帯なら消費仕切るまでに5日必要となるが、子供一人の夫婦世帯ならば2日足らずで消費し終えてしまう。
一方、缶コーヒー”など”が該当する「コーヒー飲料」(「コーヒー」は粉状のもの)、そして「ミネラルウォーター」は「単身世帯」の方が高い頻度で買い求めている。粉の「コーヒー」は「二人以上世帯」の方がよく買われている状況からは、「単身世帯」ではコーヒーを作るのが面倒だが、コーヒーそのものは飲みたいとする意向が強いようだ。あるいは分量上の問題もあるかもしれない(一人では消費しきれず、少量パックは割高)。
前年比を算出したのが次のグラフ。
「牛乳」の項目以外は単身・二人以上世帯を問わずにプラス、「牛乳」のみ双方世帯でマイナスと、極端な結果が出ている。前年2014年は物価上昇や消費税率改定に伴い生じた節約志向、同年における冷夏の影響で冷え物系飲料のセールスが落ち込んだことから、値が全般的に低迷しており、その反動も一部には作用している可能性はある。しかしそのような状況下で「牛乳」が明確に落ちている現状は、「牛乳」の消費性向が厳しい立場に置かれていると認識しても良い。
「コーヒー飲料」は単身・二人以上世帯共に前年から1割以上の増加だが、二人以上世帯では2013年から続く堅調ぶり。これはコンビニのスタンドコーヒーにおける需要喚起が引き続き効果を発揮しているものと考えれば道理は通る。家族連れでコンビニに来訪したお客が、買い物がてらにコーヒーを注文する様子を見た人は多いはずだ。昨今ではサラリーマンや各種作業系の就業者も積極的にコーヒーを注文する機会を多々見受けるようになり、単身世帯(と思われる人)も、コーヒーの調達をコンビニで行うスタイルが浸透しつつあるように見える。
金額ベースで確認
これを金額ベースで確認したのが次のグラフ。
購入金額で見ると世帯ベースでは「牛乳」の「二人以上世帯」の値が著しい。一人頭で概算するとやや金額は落ちるが、実態として世帯構成員全体が飲んでいるとは限らないことを考えれば、やはり「二人以上世帯」は個人ベースでも牛乳消費に積極的と見なしてよいだろう。
また「コーヒー飲料」を「缶コーヒー・ドリップコーヒーは1本(1人前)100円」の前提で試算すると、「単身世帯」は5本強/月、「二人以上世帯」は一人頭約1本/月飲んでいる計算になる。
購入頻度同様「茶類」の消費金額が、イメージしているよりも大きいように見られる。これは「高齢者世帯も算出対象」が一つ、そしてもう一つは、緑茶だけでなく紅茶、麦茶、ウーロン茶なども含まれるのが原因。特に夏場には麦茶の消費量が多くなる世帯も多々あるはずだ。
「ミネラルウォーター」は世帯区切りではやや「二人以上世帯」の方が金額は上だが、構成員区切りでははるかに「単身世帯」の方が利用金額が多い。「二人以上世帯」では消費量も大きくなるのでとても手が出せないか、単身世帯は飲み水にも強いこだわりを見せているのかもしれない。
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