減少中だが高齢者の数・比率は増大中…入院患者数推移を探る

↑ 病室のベッド。昔と比べれば医療体制は随分と進歩したように見えるが。

人口構成の高齢化や医学技術の進歩に伴い、これまで以上に医療機関への注目が集まる昨今。数十年に渡る入院患者数や通院患者数の状況推移を厚生労働省の「患者調査」の公開データから確認していく。

まずは入院患者数。各年の延べ人数ではなく、個々の医療機関における特定日の人数を合計した値であることに注意。なお今件では年齢不詳の値は除外している。

↑ 年齢階層別・入院患者推移(万人)
↑ 年齢階層別・入院患者推移(万人)
↑ 年齢階層別・入院患者推移(比率)
↑ 年齢階層別・入院患者推移(比率)

入院患者数は漸減中。これは医療技術の進歩により、入院が必要な場合でもその期間の短縮化が進んでいるからに他ならない。「日帰り手術」などのような、前世紀では想像もできなかったタイプの手術も、今や珍しいものではない。

他方、紫の色の動向を見れば分かる通り、高齢者に限れば入院患者数はむしろ増減し、結果として全患者数に対する比率も増加中。高齢者人口そのものの増加だけでなく、高齢者の中でもより歳を取った人の数・割合が増えるのと共に、病院における入院に頼る傾向が強くなった(医療施設と介護施設の仕切り分けが難しくなった)状況も多分に反映されている。直近2014年では、入院患者の7割強が65歳以上で占められている。一番古いデータとなる30年前の1984年と比べると、数・比率共に大よそ倍増している。

↑ 年齢階層別・通院患者推移(万人)
↑ 年齢階層別・通院患者推移(万人)
↑ 年齢階層別・通院患者推移(比率)
↑ 年齢階層別・通院患者推移(比率)

通院患者は漸増のあと、今世紀に入ってからは横ばい。医療技術の進歩は従来入院が必要だった治療が通院で済むようになった部分も多々あるため、総患者数は減退までには至らない。また年齢階層別の動向も、割合そのものは大きく異なるが、若年・中堅層が減少する一方で、高齢者が増える状況は変わりがない。高齢者の通院者数・率は30年でほぼ倍増。直近の2014年では通院患者のほぼ半数が65歳以上で占められている。

やや余談となるが、65歳以上、75歳以上にそれぞれ仕切り分けした上で、医療機関種類別の入院・通院患者数について直近となる2014年分をカウントした結果が次のグラフ。

↑ 年齢階層別・施設種類別推計患者数(万人)(2014年10月)(65歳以上、施設種類別)
↑ 年齢階層別・施設種類別推計患者数(万人)(2014年10月)(65歳以上、施設種類別)

65歳以上に限定すれば94万人が、75歳以上でも67万人が入院中。そして351万人、190万人が通院中。上記推移グラフの通り、今後この数はさらに増えることは容易に予想される。同じ一人への対応でも高齢者の医療は多分に医療リソースが求められることから、医療機関のオーバーワークや、他世代への医療リソースの分配との兼ね合わせも合わせ、多様な対応が求められよう。

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