住宅ローンの重荷が分かる、夫婦世帯などの貯蓄や負債状況を探る
夫婦世帯をはじめとした二人以上で構成される世帯では、その多くが住宅を取得し、そして少なからずはローン返済のさなかにある。その実情を総務省統計局の定点観測調査「全国消費実態調査」の結果を元に、貯蓄や負債、純貯蓄高の現状から確認していく。
二人以上世帯、大よそ夫婦世帯の場合、年収は世帯主年齢と共に上昇し、50代がピークとなる。60代に入ると早期定年組も含めて定年退職することもあり、減少に転じる。
一方、世帯主の年齢階級別による負債現在高は次の通りとなる。やはり住宅ローンを抱えることが多い30代から40代で飛び跳ねる値が出ている。
青色(不動産関連)の負債が大部分を占めている。この値は二人以上世帯全体の平均値であり、不動産を購入していない人(あるいは元々持ち家保有者、ローン完済の人)は丸々この負債の分が無いことに留意する必要がある。世帯主が30代未満でも住宅を購入する世帯はあるが少数派。やはり30代から40代で購入し、50代のうちに半ばが完済しているようだ。
さてそれでは、「貯蓄額」から「負債額」を引き、「純貯蓄額」を算出する。ただし負債の多くは直上の通り「住宅ローン」であり、これを他の「通常の負債」と一括して考えて貯蓄と相殺するのはやや難がある。住宅はそのまま換金はできず流動性も低いが、世帯の資産となるからだ。あくまでも参考値程度のものとして見てほしい。さらに持ち家率も重ね、住宅ローンとの関連も精査できるようにする。
住宅ローンの負担は大きく、40代までは実質マイナス。30代で大きなマイナス値を示すが、同時に持ち家率も30%ポイント以上跳ね上がっている。30代で多くの二人以上世帯が住宅を取得し、そのローンによる負担を抱える状況となったことが分かる。恐らくは子供が生まれ、あるいはそれに備えての取得だろう。
40代でも実質的な貯蓄額はマイナス。50代になってようやく首が回るようになる。繰り返しになるがあくまでも参考値であるものの、金銭的なプレッシャーの観点では「住宅ローンを(あらかた)返し終えた50代で、ようやく気軽さが見えてくる」といった実情が理解できる。
実際、住宅ローンなどの負債保有者率などの動向を確認すると、50代で大きく減り、それと共に完済(実際には一括購入した人や遺産相続などで取得した人も含む)して負債負担の無い持ち家を持つ人は50代で急増している。
「住宅・土地以外の負債」が50代で大きく増える現象も確認できるが、その理由は住宅ローンという「肩の荷が下りた」のが一因なのかもしれない。
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