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「8」がポイント・新成人が考える「車のある生活」、初期費用や月出費はいくらを想定しているか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 車は欲しいが先立つモノが……

今年成人式を迎え、社会に旅立つ若年層。「車のある生活(カーライフ)」はどの位の初期コストやランニングコストを考えているのだろうか。ソニー損害保険が2016年1月に発表した「2016年 新成人のカーライフ意識調査」(2015年11月21日から30日にかけて2016年の新成人男女に対しインターネット経由で実施。有効回答数は1000件。男女比は1対1)の結果から、その実情を確認していく。

今調査では新成人における「カーライフをするにあたり1か月にかけられる金額」「カーライフをするにあたり必要な手取り月収」「車を購入する際の上限予算」が尋ねられいる。これらの値を組み合われば、「車のある生活」を望んでいる新成人における各種金額の対月当たりの手取り比率(厳密には「カーライフが可能となる手取りを確保できた場合において、想定している対手取り比率」)が算出できる。なお「手取り収入」の表現は今件では「手取り」と判断する。

まず最初は新規に自前の車を調達する際の手取り比率。ほとんどの人は手取り一か月分で車が購入できるような高給取りであるはずは無く、単純に月当たりの手取りの何倍かで表されることになる。無論値が大きい方が、余計にコスト計上ができる=車の必要性を強く認識していることになる。

↑ カーライフをするにあたり投入できる車の購入金額上限(月当たりの手取りの何倍か)(2016年の新成人対象)
↑ カーライフをするにあたり投入できる車の購入金額上限(月当たりの手取りの何倍か)(2016年の新成人対象)

全体では8.0倍。つまりカーライフをするにあたり「この程度の手取りが望ましい」と想定されている金額に対し、8倍の額を車本体の購入額上限として考えていることになる。見方を変えれば新成人の手取りを底上げできれば、それだけ高額の新車が購入され得ることになる。

女性・地方居住者はやや低め、男性・都心部居住者はいくぶん高めの比率が出ている。車本体への価値観の違いに加え、コスト意識の差が倍率にも表れているといえる。

以上はいわばカーライフのための初期費用だが、車を用いる際には当然定期的な出費も求められる。燃料代や駐車場代が代表的な出費。それではそれらのランニングコストは手取りの何%を想定しているのだろうか。こちらは月額コストが手取りを上回る状況は考えにくいので、手取りに対する%で表されることになる。

↑ カーライフをするにあたり投入できる1か月あたりの金額(対月当たりの手取り比率)(2016年の新成人対象)
↑ カーライフをするにあたり投入できる1か月あたりの金額(対月当たりの手取り比率)(2016年の新成人対象)

ランニングコストは全体で7.76%。手取りが20万円なら大よそ1万5200円を想定していることになる。女性や都心部居住者はいくぶん比率が高く、男性や地方は低め。

特に都心部居住者は8.02%と8%を超えている。賃貸住宅を借りる際の賃料の目安は、手取りの2割から3割が上限と言われているが、そこに1割近くの上乗せが生活費用として加わるとなると、かなり苦しいそろばん勘定を強いられることになる。

今件は半ば数字遊び的な指標で、実用性がどこまであるのかは疑わしいものだが、あくまでも新成人を対象とした上で、「手取りの8倍が自家用車購入時の目安」「手取りの8%近くが自家用車保有時のランニングコスト」と見ると興味深い。両方とも数字の上で「8」がキーワードとなるからだ。

今後この値がどのような変化を見せるのか、若年層の懐事情や車への価値の見出し方の変化と合わせ、見極めたいところではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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