中卒者は6割強・高卒者は4割近くが3年以内に離職する…学歴別の就職後離職状況を確認する

↑ 入社直後から転職サイトをぼんやりと…なんてパターンも

低学歴者ほど離職率は高い

安定雇用は収入保証につながり、社会的地位・心身面での安寧に結びつき、日々の生活の上での心配事を減らす材料となる。しかし多様な理由で就職後まもなく離職する人も少なくない。その実情を厚生労働省が定期的に更新をしている「若年者雇用関連データ」から確認する。

かつては原則的なものだった「定年まで一つの会社に継続勤務」「年功序列制」も今や昔となりつつあるが、現在でも「正社員」なら、その多くは通用しうる。だが一方で無事に就職を果たせても、短期間で離職してしまう人も少なからずいる。

↑ 最終卒業学校別、初めて就職した会社に現在は勤務していない若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)(2013年)(厚労省「平成25年若年者雇用実態調査結果の概況」から作成)
↑ 最終卒業学校別、初めて就職した会社に現在は勤務していない若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)(2013年)(厚労省「平成25年若年者雇用実態調査結果の概況」から作成)

次に示すのは学校を卒業した直後に就職した人に限定し、就職後3年間における離職率動向、具体的には中学卒・高校卒・大学卒における「3年以内の離職率動向」のグラフ。縦軸(離職率)はあえて全学歴で区切りを揃えてあり、学歴による差異をつかみやすくしている。

↑ 在職期間別離職率の推移(中学校卒業者)
↑ 在職期間別離職率の推移(中学校卒業者)
↑ 在職期間別離職率の推移(高等学校卒業者)
↑ 在職期間別離職率の推移(高等学校卒業者)
↑ 在職期間別離職率の推移(大学卒業者)
↑ 在職期間別離職率の推移(大学卒業者)

現時点では2014年分は1年目、2013年分は1・2年分までしかデータが無い。そのため右端部分がやや変則的な形となっている。大まかな全容としては

・離職率は 中卒>>高卒>>大卒 で、中卒の離職率が一番高い。

・大卒は1年目、2年目、3年目における離職率にさほど差異は無いものの、中卒や高卒は1年目における離職率が高い。

・中卒は1年目で4割強ほどが辞めてしまう。

・今世紀に入ってからの離職率は漸減傾向にあったが、2010年以降は高校及び大学で増加が確認できる。

・2011年は中卒のみ有意に上昇している。震災起因の離職が主に中卒者内で生じた可能性の示唆。

などとまとめられる。大よそ学歴が低いほど失業率は高く、そして就職できても正社員としての雇用率は低い傾向にある(「就労者の正規・非正規社員率をグラフ化してみる」など参照のこと)。さらに離職率も高い今調査の結果を見る限り、学歴による就職回りのハードルの差異は非常に大きなものと考えてよい。

中卒、そして高卒者における1年目の離職率が高いのも、雇用する会社側から見て解雇しやすい非正規社員だからと考えれば、道理が通る(同時に、もう一つ別の要因も想定されるが、それは次の項目で解説する)。「労働流動性の高さを反映したもの」と表現すれば聞えは良いが、(無論自主的離職も少なくないものの)解雇される立場からすれば気分の良いものではない。企業そのものの存続が前提になるが、中卒者の3年定着率が4割足らず、高卒でも6割強、大卒ですら7割足らずとの実態は、覚えておく価値のある値ではある。

3年目までの離職率と景気の関係

3年目までの離職者を総計したグラフは次の通り。

↑ 在職期間別離職率の推移(中学校・高等学校・大学卒業者)(3年目までの総計)(2013年は1年目と2年目、2014年は1年目のみ)
↑ 在職期間別離職率の推移(中学校・高等学校・大学卒業者)(3年目までの総計)(2013年は1年目と2年目、2014年は1年目のみ)

離職率は景気と反比例する傾向を見せている。特に直近の金融危機ぼっ発以降の動きが顕著。これは「不景気≒再就職困難≒離職を断念する(離職検討理由を我慢する)」との流れによるもの。見方を変えれば「好景気≒再就職容易≒離職決意のハードルが下がる」と考えることができる。

ただし労働市場面での景気の悪化度合いが一定度を超えると、本人は望んでいなくとも(実質的)会社都合による解雇・離職の事例が増えるため、離職率は上昇してしまう(今件離職率では自己都合退社と、会社都合退社・会社の破綻などによる失職などの区別は成されていない)。2010年から2011年にかけて値が有意に上昇しているが、これはリーマンショック、過度の円高、そして震災と、畳み掛けるような企業経営に対するマイナス要因が生じた結果の動きと見られる。

試しに上記グラフに「不景気」と認識されている時代を合成する(薄い赤エリア)と、大よそ該当時期には値が下がっているのが分かる。

↑ 在職期間別離職率の推移(中学校・高等学校・大学卒業者)(3年目までの総計)(2013年は1年目と2年目、2014年は1年目のみ)(不景気時代を薄い赤部分で着色)
↑ 在職期間別離職率の推移(中学校・高等学校・大学卒業者)(3年目までの総計)(2013年は1年目と2年目、2014年は1年目のみ)(不景気時代を薄い赤部分で着色)

もっとも、2003年あたりから金融危機が始まる2007年までは、景況感は必ずしも悪くないものの、減少傾向が確認できる。明確な理由は判断し難いが、失業率はこの時期に大きな減退を示していること、非正規率が上昇していることから、労働市場の構造変化が影響しているものと考えられる。

離職率は学生にとっては特に気になる指標でもある。来年以降の値がどのような変移を遂げるのか、大いに注目したいところだ。

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