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コンビニ四天王の売上高や店舗数の現状を探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日常生活には欠かせない存在となりつつあるコンビニ。その売り上げは…

売上は伸び、10兆円を超える

21世紀の「よろずや」、さらには地域社会の柱としての立ち位置を確かなものとしつつあるコンビニエンスストア。このコンビニの売上や店舗数はどれほどの売上を上げているのだろうか。その現状を、ローソンやファミリーマートが公開している各種資料(アニュアルレポートなど)に記載されている、業界関連データから探る。

まずは売上高推移。2000年以降について、上位4チェーン店(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクス)とそれ以外の合計を積み上げグラフと、コンビニ業界全体の売り上げに占める比率計算をしたものが次のグラフ。セブン-イレブンがトップを占めている状態は、少なくともグラフの対象となる2000年以降変化は無い。

↑ コンビニ業界全体に占める上位4チェーンの売上高(兆円)(ローソンアニュアルレポートより)
↑ コンビニ業界全体に占める上位4チェーンの売上高(兆円)(ローソンアニュアルレポートより)
↑ コンビニ業界全体に占める上位4チェーンの売上高(業界全体に占める比率)(ローソンアニュアルレポートより)
↑ コンビニ業界全体に占める上位4チェーンの売上高(業界全体に占める比率)(ローソンアニュアルレポートより)

直近年ではセブン-イレブンとファミリーマートの伸び率が著しいが、これは主に店舗数そのものの拡大が原因。1店舗単位の売上が急激に増加したのではなく、売上を計上する店舗数の拡大政策(吸収や他企業店舗からの転換含む)により、全体としての売上が積み増しされた形となっている。そして「四天王」による業界全体のシェアは引き続き拡大する傾向にある。

四天王のシェアはこの14年間で約75%程度から約85%へと10%ポイントほどの拡大ぶりを示している。これは四天王の各チェーン店が売り上げを伸ばしている他に、それ以外のコンビニが今一つなことが要因(ただし直近2014年分に限れば、四天王以外のコンビニの売り上げシェアは前年比で0.8%ポイント上昇している)。スケールメリットによる業績の効果的な拡大、あるいは寡占化、と表現してもよい。

店舗数は確実に増加するコンビニ達

続いて店舗数。コンビニ……に限らずそれ以外の小売店の大部分も同様なのだが、単純に店舗数だけで展開状況の良し悪しを断じることは難しい。地域性、集中性などチェーン店によって特性・独自の戦略があり、単に数が多ければ良いものではない。また、コンビニの開店・閉店の頻度の高さ、さらに特定地域に存在するコンビニ数が同じでも、時期によりその中身は大きく変容している場合もある(例えばローソン100が通常のローソンに転換されるなど)。この「店舗数」は、あくまでも比較材料の一つとして考えてほしい。

↑ コンビニ業界全体に占める上位4チェーンの店舗数(各年期末)(ファミリーマートアニュアルレポートより)
↑ コンビニ業界全体に占める上位4チェーンの店舗数(各年期末)(ファミリーマートアニュアルレポートより)
↑ コンビニ業界全体に占める上位4チェーンの店舗数(各年期末)(業界全体に占める比率)(ファミリーマートアニュアルレポートより)
↑ コンビニ業界全体に占める上位4チェーンの店舗数(各年期末)(業界全体に占める比率)(ファミリーマートアニュアルレポートより)

店舗数動向からも「コンビニ四天王」の影響力拡大は見て取れる。四天王はそれぞれ、それなりに店舗数を伸ばしている(サークルKサンクスは一時的にやや減少)。そしてファミリーマートがこの数年大きく伸びているのは、2010年以降段階的に行われたam/pmの吸収合併によるところが大きい。同社ではそれ以降も急速な拡大戦略を継続中で、2014年の時点では1万店舗を突破し、日本のコンビニチェーン店ではセブン-イレブン、ローソンに続き3社目の「万店コンビニ」となった。

また現時点でもなお協議中ではあるが、2016年9月をめどにファミマとユニーグループが経営統合を行う運びとなっている。これが果たされれば、サークルKサンクスのブランドはファミリーマートに統合される予定のため、上記各グラフでも「サークルKサンクス」の項目が該当年以降は消え、その分ファミリーマートが増加することになる。概算ではあるが、直近データから元に試算すると、売上高ではローソンを抜いて第2位、店舗数ではセブン-イレブンすら抜いてトップになる可能性がある。

他方それ以外のコンビニは伸び悩んでおり、さらに上記の例にある通り、一部は大手に吸収合併し、結果として売上同様店舗数の点でも寡占化が進んでいることになる。

以上、売上高と店舗数の2つの視点から、「コンビニ四天王」の動向を確認した。全体的にはコンビニ業界は社会の要請を受ける形で市場規模を拡大する一方、緩やかな動きながらも4チェーン店によって寡占統合化が進んでいる。

今後は震災の影響やシニア層の利用拡大に伴う利用者性向の変化(買物弱者問題、多様なサービスへの対応など)に合わせてさらに様態を進化させ、地域を支える社会拠点としてこれまで以上の期待に応え続けることになる。また、一部では類似業態のスーパーやドラッグストアとの融合店舗なども登場しており、「コンビニ」といった言葉の定義の領域すら拡大する勢いを見せつつある。その上、人が集まる特徴を活かし、顧客サービスの担い手として、駅や病院、学校などの公共機関への進出・既存店舗からの代替による店舗進出も著しい。

それらの動きに伴い、店舗数と売上の拡大と寡占化など、一連の動きはますます加速していくに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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