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テレビは子供の言葉遣いへ一番大きな影響を与えると思われている

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 子供は様々な機会を通じて言葉を習得していく。テレビ視聴時間が長ければ…

子供は成長過程で自らの生活環境においてさまざまなものと接して影響を受け、言葉を学んでいく。大人たちはどのような手法・ツールが、子供に影響を与えていると考えているのだろうか。文化庁が2015年9月に発表した「平成26年度 国語に関する世論調査」の結果概要の発表内容から確認していく。

次に示すのは回答者≒大人が、子供の言葉遣いに与える影響が大きい人やものだと思ったもの。子供の有る無しを問わず(一般概念としての子供全体。ただし回答者自身が子供を有している場合は、自分の子供の実情が回答に反映されていることは容易に想像できる)、また実際に影響を与えているか否かの科学的・統計的裏付けも必要が無い。あくまで回答者がそのように認識しているか否かを答えてもらったもの。

↑ 子供の言葉遣いに与える影響が大きいものは?(2014年度、複数回答)
↑ 子供の言葉遣いに与える影響が大きいものは?(2014年度、複数回答)

最大の回答率、つまり「子供の言葉遣いに影響を与える」ともっとも多くの大人が考えている対象はテレビ。8割強の人が同意している。一方向性による映像と音声で提供されるさまざまな番組は、多種多様な人達の言葉を子供に経験させ、確実に影響を与えている。そう考える大人が多いのも納得がいく。次点となる母親、父親、そして友達よりもまずテレビが最大の影響力を示すと認識されている点は、「テレビっ子」的な言い回しが今でも有効である証かもしれない。

周辺の人物では父親よりも母親の方が回答率は高い。これは子供と共にいる時間の長短が影響しているものと考えられる。兄弟姉妹や祖父母が一段と低めなのは、単に該当する人物がいない可能性もありうるから。

テレビ以外の物品としてはゲーム機、漫画が続く。インターネットはその次で39.2%。ゲーム機の方が漫画やインターネットより、言葉遣いの習得の上で影響度が大きいと認識されていることは、意外といえば意外。

これらの「影響を与え得るもの」はここ数年の間に大きく進歩、あるいは社会的立ち位置を変えている。同様の調査を行った2000年度と2007年度との値の併記、そして前回同様調査となる2007年度分(全同一項目で調査が実施されている)との値の比較を示したのが次のグラフ。7年の間で、子供の言葉遣いに影響を与えそうな要素の力関係の変化(少なくとも大人が認識している範囲で)が分かる。

↑ 子供の言葉遣いに与える影響が大きいものは?(複数回答)(空欄は当時調査せず)
↑ 子供の言葉遣いに与える影響が大きいものは?(複数回答)(空欄は当時調査せず)
↑ 子供の言葉遣いに与える影響が大きいものは?(2014年度、複数回答、2007年度調査結果からの増減)
↑ 子供の言葉遣いに与える影響が大きいものは?(2014年度、複数回答、2007年度調査結果からの増減)

インターネット(特に指定は無いのでパソコン以外に携帯電話などから経由も含む)が子供の言葉遣いに大きな影響を与えているとの認識が急増。ゲーム機や携帯電話での通話も増加し、子供達の間にこれらの環境が整備され、利用される機会が増えていることが分かる。

一方で、テレビ、子供向けの本や雑誌などが減り、漫画も幾分ながら減少しており、相対的に立ち位置が減退している。また、母親や父親など、対人関係による影響も大よそマイナス値にあり、中でも「地域の大人」の回答率の減退ぶりが大きく、地域社会の希薄化も想起される。

あくまでもこれらの値は、回答者からの認識、判断によるもの。それでもなお、子供を取り巻く環境の実情や変化が良く分かる結果には違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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