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Facebookはほぼ上限感、Twitterは相性上の限界状況な米ソーシャルメディア利用状況

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 米国では「まずはFacebook」的な状態にまで普及し、頭打ちに……

FacebookやTwitterは成長が足踏み状態の米国事情

今や日常生活には欠かせない存在のソーシャルメディア。多種多様なサービスが展開中だが、ネットサービス先進国のアメリカ合衆国ではFacebookやTwitterの利用状況は、いずれも成長の上では行き詰まりを見せているようだ。その実情を同国の民間調査会社Pew Research Centerが2015年8月に発表した、同国におけるソーシャルメディアなどの利用状況を調査した報告書「Mobile Messaging and Social Media 2015」をもとに確認していく。

次に示すのはPew Research Centerが経年で行っている同様スタイルの調査の結果として導き出された、主要ソーシャルメディアの利用率推移。いずれもインターネット利用者限定であることに注意。調査対象となる18歳以上全体に対する比率としては、インターネット利用者率は漸増していることから、経年による差異はもう少し大きなものとなる。

↑ ソーシャルメディア系サービス利用者推移(米、インターネット利用者限定)
↑ ソーシャルメディア系サービス利用者推移(米、インターネット利用者限定)

元々アメリカでは利用率が高いFacebookだが、今件調査結果でも7割を超える値を示している。ただし直近数年に限れば浸透率は頭打ちで7割台で足踏み状態。Twitterも似たような動きで直近では23%だが、2014年から足踏み中。単なる誤差の可能性もあるが、同サービスの能力的、あるいはアメリカにおける相性上の限界の可能性も示唆している。LinkedInに至っては減退現象まで確認できる。先日Twitter社が日本に開発拠点を開発し注力していくことを発表しているが、一因にはアメリカでの行き詰まり感もあるのかもしれない。

他方PinterestやInstagramはマルチメディアを扱う観点では似た方向性を示しており、並べられる形で語られることが多い。そして成長動向でもほぼ同じ動きを見せているのが興味深い。直近の2015年ではそれぞれ31%、28%。少なくともこの4年では毎年利用率を上昇させている。

成長株PinterestやInstagramの利用性向は

成長株のPinterestやInstagramに関して、アメリカにおける最新の利用状況を確認していく。まずはPinterest。サービスのキャッチコピー「オンライン版のピンボード。貴方の好きなものを整理して他人に披露しよう」からも分かる通り、気に入った写真や動画をコルクボードに貼りつける感覚で集めてまとめ、他人に閲覧させることができる。自分のものでも、他人のものでも構わない。いわば切手帳、スタンプ帳のようなもの。あるいは新聞の切り抜きを貼りつけていくスクラップブック。

↑ Pinterestを利用しているか(米、2015年春、インターネット利用者限定)
↑ Pinterestを利用しているか(米、2015年春、インターネット利用者限定)

全体利用率(対インターネット利用者)は31%。女性の利用率が圧倒的に高く4割を超えている。またオシャレ感を反映してか、若年層の利用率が高めだが、50歳未満までは1/3強を維持しているのも注目に値する。中堅層にまで浸透しており、相当力強いサービスへのサポーターとなる。

学歴別では大学修学者の利用率がもっとも高いものの、さほど大きな差異は出ていない。また世帯年収別や居住地域でも際立った違いや傾向は無く、世代間の利用差異以外はあまり生じていない、珍しい利用状況であることが確認できる。

もう一つのマルチメディア系ソーシャルメディア、Instagram。こちらは他人のコンテンツの再編集、スクラップブック化ではなく、自らのコンテンツ(写真や動画)の加工と頒布を主軸としたソーシャルメディア。

↑ Instagramを利用しているか(米、2015年春、インターネット利用者限定)
↑ Instagramを利用しているか(米、2015年春、インターネット利用者限定)

利用率はPinterestとさほど変わらないが、男女差ではPinterestほど差異は出ていない。それでもやはり女性のほうが利用率は上。

一方、利用年齢階層別の差異は大きく、若年層が非常に高い値を示し、歳を経るに連れて利用率は急激に下がる。機能上、外出した上でのコンテンツ作成=撮影が主な利用スタイルとなるため、行動意欲の差が世代格差となって表れたのだろう。もっとも学歴別・世帯年収別の差異はほとんど無く、この点はPinterestと同じである。

ただし居住地域別では明確に都市部の方が高い利用率を示している。都市部の方が刺激的な場面やイベントなどに遭遇できる機会が多く、スマートフォンでその瞬間をとらえるチャンスが増えることから、利用動機を後押しされるものと考えられる。

Instagramは現在Facebook傘下にあるが、独立した運営が続けられており、他のソーシャルメディアとの連動も維持されている。そのため、他のサービス上でInstagramを用いた写真などが投稿される場面が、日本でもよく見受けられる。もっとも単独での閲覧はそれほど多くは無く、今や付帯サービス的な扱いをされている面が多いのかもしれない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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