調査開始以来最大を記録した7月の熱中症による病院搬送者数
消防庁が8月18日付で発表した7月分の熱中症起因による全国の救急搬送者数は2万4567人。これは2008年の調査開始以来、7月の観測値としては過去最大の値となった。昨年2014年は1万8407人、よって33%もの増加となる。消防庁では今後も厳しい暑さが続くことが見込まれているため、引き続き厳重な警戒が必要だとコメントしている。
昨年同時期と比べるとすべての年齢区分で人数は増加。特に今年は高齢者(プラス44%)で大きな増加を示している。高齢者の人数そのものは増加の一途をたどっているが、その増加状況をはるかに超えた搬送者数の増加で、屋内外を問わず(高齢者は屋内における熱中症リスクが他年齢階層と比べて高い)当事者はもちろんだが周辺関係者のさらなる警戒が求められる。
搬送時の初診傷病程度は次の通り。人数はその他区分で減少し、軽症・中等症・死亡区分で増加している。患者の発生数そのものの減少だけでなく、発生・状況確認時の症状の軽減もまた、熱中症対策の上では求められる要素であり、今後も中長期的な視点から、油断することなく早期発見・早期対策が必要。
軽症:入院を必要としない程度
中等症:重症または軽症以外の病状
重症:3週間の入院加療を必要とするもの以上
死亡:医師の初診時に死亡が確認されたもの
「軽症」と「重症」の容体を比較した上で勘案すると、「中等症」とは「3週間未満の入院を必要とするもの」と判断できる。つまり「重症ほどではないが、搬送時には相当状態が悪化しており、入院措置が必要な状況」。本人の無理がたたった、または他に誰もいない環境下で気を失い、第三者による発見が遅れたことが想定できる。見方を変えると2015年7月の該当期日においては、ほぼ6割の熱中症による救急搬送者は入院をせずに済んだことになる。
なお今回の確定報により、2015年6月1日から9月30日(夏期)における搬送者数総計は2万7599人となった(6月以降の観測値が計上されているのは2010年以降)。
単純比較が可能な2010年以降分の値で勘案すると、今年は2013年の2万7964人に匹敵する高値をつけており、留意が必要になる。
直近として8月20日に発表された気象庁の一か月予報によると、東日本では9月頭ぐらいまでは気温が平年より高くなる可能性が高いとの観測が出されている。現時点では暑さはピークを超えたものの、今なお残暑としての暑さは続いており、真夏日が各所で観測され、熱中症による搬送者が相次いでいる。
熱中症への対策は、多分に身体の健康管理そのものにもつながる話。体調管理の視線で自分の、そして周囲の体を気遣い、その中で熱中症に対する注意と配慮をしてほしいものである。
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