増える真夏日・猛暑日、「昔も今も暑さ変わらず。騒ぐのは根性不足」は精神論

↑ 猛暑日は35度以上を記録した日。その数をカウントすると……

真夏日と猛暑日をカウントすると

以前「東京や大阪の温度は上昇中・100年以上の推移で比較してみる」などで解説の通り、夏の気温は確実に上昇しており、例えば東京では130年あまりで2度ほどの上乗せが確認されている。数字の上では1度や2度、大したことは無いように思えるが、実際の体感温度としては、1度違うだけでも大きな差となる。

↑ 東京の平均気温(7月・8月、度)
↑ 東京の平均気温(7月・8月、度)

気温上昇の原因は複数考えられるが、人口の増加や都市化に伴うヒートアイランド現象の影響が強くなったこと、人間の行動様式がより熱量を放つスタイルに変わったことなどが主要因として挙げられる。豊かな、科学的に進歩した社会生活を送るためには、相応のエネルギーが必要で、エネルギーを消費すればそれなりの熱量が発生するからだ。

一方、昨今においてネット界隈で、気象庁の平均気温のデータを用い、気温上昇は起きていないとする意見が一部で広まり、それをきっかけに「昨今の夏の暑さに関する対応は騒ぎ過ぎ。昔も今も暑さは変わらず、現代人の根性が無いだけだ」とする意見も吹聴されるようになった。関連しそうな学問の専門家ですら、その類の言及を行い、驚いたのは当方だけではあるまい。

そこで今回、同じく気象庁から真夏日(一日の最高気温が30度以上の日)、猛暑日(同35度)の年次ベースの数を抽出し、本当に暑さは昔も今も同じなのか、別方面から検証することにした。すでに冒頭の通り、平均気温の上でも明らかに上昇しているのだが、ピークとなる暑さの温度がどれだけ高いのか、その機会が多いのかを推し量るのには、真夏日や猛暑日の数の変化を見るのが分かりやすい。

観測対象地点は東京と大阪、そして消防庁の熱中症による救急搬送者の公開データでは良く上位につく兵庫を対象とした。ある程度カウントされるべき日が存在しないと、値そのもののぶれが大きくなってしまうからである。

↑ 東京・大阪・神戸の真夏日(30度以上)日数(年ベース)
↑ 東京・大阪・神戸の真夏日(30度以上)日数(年ベース)
↑ 東京・大阪・神戸の猛暑日(35度以上)日数(年ベース)
↑ 東京・大阪・神戸の猛暑日(35度以上)日数(年ベース)

真夏日と猛暑日の数は当然大きな差が出るため、縦軸の仕切りが異なる形となったが、どちらのグラフでもイレギュラーな動きは多分にあるものの、確実にその数を増やしているのが分かる。数年でいきなり数倍といった劇的な増加ではないが、増えていることに違いは無い。特に赤線で記した大阪の動きが大きなものであることも感覚的に分かる。

近似曲線で確認すると

「感覚的に分かる」としても、分からない人もいるだろうし、あるいは気のせいだと判断する人もいるかもしれない。そこでそれぞれのグラフに線形近似曲線(点線)を引き、元のグラフを透過する形にして、近似曲線を目立たせる形にしたのが次のグラフ。要は点線部分が横ばいなら、真夏日・猛暑日は増えていない、右肩上がりならば増えている、右肩下がりなら減っている次第である。

↑ 東京・大阪・神戸の真夏日(30度以上)日数(年ベース)(線形近似曲線追加)
↑ 東京・大阪・神戸の真夏日(30度以上)日数(年ベース)(線形近似曲線追加)
↑ 東京・大阪・神戸の猛暑日(35度以上)日数(年ベース)(線形近似曲線追加)
↑ 東京・大阪・神戸の猛暑日(35度以上)日数(年ベース)(線形近似曲線追加)

今回観測対象となった東京・大阪・神戸ではいずれも増加傾向にある。特に大阪は増加の勢いが著しい。もう少し検証対象地域を増やし、さらに人口の増加率と掛け合わせれば、ヒートアイランド現象との相関関係性も一層確かなものとなりそうだが、よほどの地点でないと真夏日や猛暑日の有意な値としての数の計上は期待できないので、これは今後の課題となりそう。

ともあれ、真夏日・猛暑日の観点で見ても、日本の夏は確実に暑くなっている。これは間違いない。

ここ数日は各所で真夏日・猛暑日を観測しており、熱中症による救急搬送患者も急増、先週は1週間で1万人を超える形となった(「熱中症による搬送者数は1週間で1万1672人(2015年7月27日-8月2日)(最新)」)。

↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)

「昔と気温があまり変わっていないように見えるので、夏に暑さに騒ぐことは無い、夏が暑いというのは甘えだ」的な話は戯言として捨て置き、無理をせずに体調管理を万全に、そして適切な生活環境における温度管理を心がけてほしい。

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