中学生から50代は携帯が上…ネット機器の利用状況を探る
今やインターネットへのアクセス端末と評しても過言では無いパソコンや携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方を意味する)。それら端末の利用状況の現状を、総務省が2015年7月に発表した「通信利用動向調査」から探る。
次以降に示すのは、「モバイル系端末(スマートフォンは含むが、タブレット型端末は含まない)」による「インターネットの利用率」。比較対象としてパソコンを、「自宅パソコン」(=自己世帯所有パソコン)と「自宅以外パソコン」(≒会社や学校など、他人のパソコン)に細分化して集計、さらに単独で「タブレット型端末」をカウントしている。
また、今件利用率はインターネットそのものを利用している・していない人を合わせた、調査対象母集団全員を対象にした全体比。例えば今回の2014年末時点で「自宅パソコン」で6歳位以上全員は53.5%であることから、調査対象母集団全員の5割強(インターネット利用者全体の、ではない)は、自宅のパソコンを使ってインターネットにアクセスしている計算になる。
パソコン関連を見ると、未成年者では「自宅」「自宅以外」の差が大きく開いている。今や学校教育でもパソコンの利用は欠かせないものとなったが、インターネットにアクセスできるか否かは別の問題(リスクを考え、非接続とする事例も多い)。また、自宅、そして学校以外でパソコンを使ってインターネットを使う機会もあまり無く、値は低め。
成人に達すると「自宅以外」は上昇するが、これは当然企業などで職務上利用するため。それでも「自宅」との差が一定量生じているのは、専業主婦が自宅以外で使う機会を得られない事情による。また就業者でもパソコンを使わない職種も多数存在する。一方、「成人は企業でパソコン経由のネット接続をするから『自宅以外』が増える」動きそのものは、定年世代以降になると急激にその値が落ちる実態が、その裏付けとなる。
パソコン以外では「スマートフォンを含めた携帯電話の利用率」が圧倒的。そして携帯電話そのものの普及率と同じように、20代~30代が高率値のピークとなり、それ以降は漸減していく。今件では「自宅」「自宅外」で分割していることもあるが、それぞれのパソコン利用率とスマートフォン利用率とを比較すると、10代後半(中学生)から50代までは「携帯電話>>パソコン」との結果が出ている。若年層から中堅層までは「インターネットといえば携帯電話(多分にスマホ)がメイン」との世代となっている。
家庭用ゲーム機によるインターネットへのアクセスが、未成年者を中心に高い値を示しているのも注目に値する。特に6歳から12歳の世代では3割近くを数えている。そして家庭用ゲーム機には及ばないものの、タブレット型端末も同世代で2割強と、30代を超えて世代別の値では最高値を示している。
携帯電話と比べると数分の一でしかない「タブレット型端末」「ネット対応型家庭用ゲーム機等」だが、それぞれその機種の特性を指し示す特徴が見えている。具体的には次のような動きである。
・家庭用ゲーム機経由は「6~12歳」がピークで、以後漸減。20代までは1割を維持するが、使っている層は実質的に40代まで。見方を変えると、その程度までは「家庭用ゲームもオンラインゲームが浸透している」とも。
・タブレット型端末の最大値は「6~12歳」(小学生)。以降漸減し、30代で再び大きな値を示し、再び減少していく。しかし60代前半まで利用率は1割を超えており、幅広い層に受け入れられている。中堅層は新アイテム好きな人達による先行購入によるもの、6~12歳層は子供用のデジタル玩具としてスマートフォンでは無く、タブレット型端末を与える事例が急増していることの表れといえる(この世代では自ら同機種を購入することは考えられない)。
スマートフォンの若年層から中堅層への加速度的な浸透ぶり、タブレット型端末のシニア層までをも含めた確かな普及率のかさ上げ、そしてタブレット型端末と家庭用ゲーム機の若年層の利用拡大化など、インターネット利用端末におけるトレンドを垣間見ることができる。
中でも幼少児におけるタブレットの保有率の高まりは、注目に値する。流行を引っ張る立場としてだけでなく、育児スタイルそのものにも影響を与えるに違いない。
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