一人身高齢者は600万世帯近く、女性は男性の2.1倍にも
子供の別居などに伴い生じる、高齢者のみの世帯が増加し、健康や防犯上のリスク、日常生活における難儀さなどが問題視されている。現状における高齢者世帯の実数や過去からの推移を、厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査の概況」から確認していく。
今回対象とする世帯は「高齢者世帯」と呼ばれているもの。具体的には「65歳以上(高齢者)のみで構成されている、あるいはこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯」を指す。要は高齢者以外に所得を得られそうな年齢の構成員が居ない世帯。
この「高齢者世帯」の具体的な世帯数推移を示したのが次のグラフ。直近分の2014年においては、高齢者一人のみの世帯、つまり単独高齢者世帯は595.8万世帯。男性のみ世帯数が1.00とすると、女性のみ世帯数は2.12、夫婦(共にお年寄り)のみ世帯が3.04の割合となっている。なおグラフ中の注記は無いが2012年分は福島県では未調査となっているため、その分の値は除外されている。
この30年近くの間(1986~2014年)に「高齢者世帯数」そのものは5.17倍、男性のみの単独世帯に限れば7.76倍にまで増加した。増加率は男性単独世帯の方が大きいが、絶対数は女性単独世帯の方が2.12倍ほどで、404.9万世帯にも及ぶ。これはひとえに女性の方が寿命が長いことによるもの。特に「夫婦のみ世帯」で配偶者に先立たれ、単独世帯になる人において、その傾向が強いと容易に想像できる。
女性の長寿命を別の視点で確認できるのが次のデータ。男女それぞれの高齢者単独世帯における、年齢階層構成比を示したものだが、明らかに男性よりも女性の方が高齢化が著しい。
例えば80歳以上で区切ると、男性は25.1%・女性は36.9%と、10ポイント強の開きがある。独り暮らしをしている高齢者のうち、男性は4人に1人・女性は3人に1人が80歳以上と表現を変えてみると、一人暮らしのお年寄りのリスクの高さが改めて認識できる。
高齢者世帯の増加に伴い、バリアフリーに関する問題、「買物困難者」に代表される社会生活上のインフラの対応、そして健康管理など、多種多様な問題が表面化し、トラブルの増加が容易に想像される。各種対策が急務であることはいうまでも無い。
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