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ガラケーからスマホへのシフトが進む中堅層

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ガラケーからスマホへ。モバイルのシフトは……

40代までは「ガラケーよりスマホ」

普及浸透が著しく、世の中に大きな影響を与えている携帯電話。その中でも従来型携帯電話(ガラケー)からスマートフォンへのシフトが進んでいる。その実情を総務省が情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」から確認していく。

次に示すグラフは世代別のガラケー、スマートフォン、タブレット型端末の利用率。所有率ではないので、所有権を有する必要は無い(特に10代では利用していても自分の所有物で無い可能性がある)。

↑ スマホ・従来型携帯・タブレット型端末利用率(2014年)
↑ スマホ・従来型携帯・タブレット型端末利用率(2014年)

20代でスマートフォンとガラケーの回答値の合計が100%を超えていることから、双方の端末を同時に利用している人がいることが分かる。利用スタイルとして使い分けているか、単に移行の過程にあるかは人それぞれだが、双方項目の世代別の回答率を見るに、従来型からスマートフォンへの移行が若年層から少しずつ起きていることが分かる。

全体ではスマートフォンと従来型の差異は20%ポイントほどの差が出ているが、10代から30代まではそれをはるかに超える圧倒的差でスマートフォンの方が上。また30代ではまだ3人に1人近くがガラケーを所有しているが、20代では1割強にまで落ちている。10代がやや多めなのは、新規に子供向けの防犯用携帯電話を持たされる事例があるのが原因。

スマートフォンの利用率は20代がピークで、以下歳を経るに連れて漸減。ガラケーは逆に20代が下限で、それ以降は年と共に上昇していく。40代までがスマートフォンの方が上の世代で、50代になると従来型の方が上となる。

他方タブレット型端末だが、世代別の差異があまり無い。これは個人所有の事例がさほどなく、世帯別での所有機として家族皆で使う事例が多々あり、世代別の利用率の差が出にくいことが要因。

去年からの変化を見ると……

スマートフォンの急速な浸透ぶりを、前年比で確認する。次に示すグラフは、今件調査の前年版、つまり2013年の状況の結果を抽出し、今回の2014年分と比較して1年間でどこまで変わったかを算出したもの。例えば全体のスマートフォンの値は9.5%とあるので、全体においては前年から9.5%(ポイント)スマートフォンの利用率が上昇したことになる。

↑ スマホ・従来型携帯・タブレット機利用率(2013年から2014年への変移)
↑ スマホ・従来型携帯・タブレット機利用率(2013年から2014年への変移)

すべての世代でガラケーの利用率が大きく後退し、スマートフォンの利用率が上昇している。ガラケーからスマートフォンへのシフトが急激に起きている次第である。シフト度合いは若年層より中堅層の方が大きく見えるが、これはすでに若年層ではスマートフォンの普及が多分に進んでいるため。60代でもスマートフォンの利用率が10%ポイント近く増え、ガラケーが7.4%ポイントも減ったのは、意外と言えば意外ではある。

またタブレット型端末は全世代で上昇。しかも世代別の傾向が特にない。あえて言えば教育目的などでも使われることが多いとされる10代での伸びが著しいのが目立つ。

ガラケーよりもスマートフォンの利用率が高い若年層と、ガラケーが圧倒的なシニア層といった携帯電話の利用状況。家庭共用スタイルが多く世代格差があまり出ないタブレット型端末。若年層ではすでに飽和状態に近づき、中堅層にシフトしつつある、スマートフォン化の波。昨今語られている携帯電話事情が、ずばりそのまま明確化した形で現れる結果が出ている。

特にガラケーからスマートフォンへのシフト動向は、今後スマートフォンの普及状況がどのような変化を見せるのかを推し量ることができる内容となっている。今件の結果の限りでは、50代位までは普及浸透が進むものの、60代以降の利用率上昇はまだ先であることが推測できる。シニアの利用スタイルを想像すれば、それは容易に納得ができるし、何か技術的に劇的な変化がない限り、スマートフォンの利用率上昇そのものは継続するが、今後もさほど高くない値に留まることだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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