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諸外国で大きく異なる日本への興味分野と情報入手ルート

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「日本ってこんなところだったのか」「まじで!?」と大袈裟なことは無いだろうが

高いフランスの興味関心

諸外国が日本に向ける視線の内容は、日本にとって非常に気になるもの。国毎に大きく異なる興味を寄せる分野、その情報の入手ルートを、新聞通信調査会が2015年3月に発表した、アメリカやイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」の内容から確認していく。

今調査はアメリカ、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2015年1月に行われたもので、タイ以外は電話調査、タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。理由は未公開だが中国では質問についての制約が多く、今調査で設定した全16問のうち、調査が実施できたのは5問に留まっている。

次に示すのは日本の特徴などを主要分野に仕切り分けし、それぞれの分野に興味関心を抱いているか、諸国の人たちに尋ねた結果。複数回答形式なので、個々の国で回答率が高いほど、多方面で日本への関心が高いことをも意味する。

↑ 日本に対して興味を持つ分野(複数回答)
↑ 日本に対して興味を持つ分野(複数回答)

アメリカとイギリス、フランスでは項目別興味の順位には大きな変化が無い。歴史や文化がもっとも高い関心を集め、次いで科学技術が続く。フランスでは観光の値がやや高めに出ているが、米英と同じく生活様式・食文化への関心の高さも変わらず。一方で関心の全体的な度合いは欧米3か国ではフランスが一番高く、次いでイギリス、アメリカの順。アメリカの関心度の低さは意外といえば意外。

他方東南アジアでは韓国が意外に醒めている。その分、タイの高さが余計に際立つ。また欧米諸国と比べると歴史と文化や科学技術より、生活様式・食文化や観光に対する関心度が高く、欧米と東南アジアとでは、日本に対する注目先が異なっている。

情報源と期待と

これらの人たちはどのようなルートで日本の情報を入手しているのだろうか。

↑ 日本に関する情報の入手先(複数回答)
↑ 日本に関する情報の入手先(複数回答)

どの国でも最大の入手先は自国のテレビや新聞、雑誌のような従来型大手メディア。インターネットがそれに続くが格差は大きく、さらにアメリカではインターネットより自分の家族や親戚、知人経由によるところが大きい。欧米では学校教育も相当数に登っているが、韓国やタイではほとんど皆無に等しく、従来型大手メディアとインターネットに頼っていることが分かる。

今件が対面・電話調査で行われておりインターネット経由の調査のようなメディアギャップを考慮しなくてよい結果であることから、他国への日本の情報周知にはインターネット経由はもちろんだが、それぞれの国に対する大手従来型メディアへの情報公開、日本に来日している人たちへの積極的なアプローチ、欧米ではそれに加え学校教育に対する考慮が求められると考察できる。

それではインターネットや各種実媒体などで国外にも情報発信をしている日本の各メディアに対し、諸外国の人たちはどのような期待をし、日本のどの部分の情報発信を望んでいるだろうか。見方を変えれば日本のメディアに対し、対外情報発信の際には重点を置いてほしい分野である。

↑ 日本のメディアに期待する報道内容(複数回答)
↑ 日本のメディアに期待する報道内容(複数回答)

米英は大よそ同じ優先順位だが、アメリカの期待度は低い。またフランスの期待度合いは興味関心同様で、しかも多分野に渡っている。他国よりは高いものの、ファッション・アニメ・音楽に対する期待度が低いのが意外と言えば意外か。

アジアではタイが高めで期待分野も多方面に渡る。一方韓国は歴史と文化に関する期待がずば抜けて高く、政治・経済・外交政策、国際協力・平和維持活動が続いている。また韓国における値は今回統計を取れた5か国では最低値を示していることから、日本のメディアに対する報道そのものにあまり期待をしていないのかもしれない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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