「我が国は世界に良い影響を与えている」主要国の自画自賛度
最高の自画自賛度を誇るのは中国
自国に自信を持つ事は決して悪い話では無いが、事実以上の過度の自信は正しい判断を妨げる要因にもなりうる。BBCの定点調査「Global Survey on Country Influence」の最新版(2014年発表)から、主要国における自画自賛度を確認していく。
今調査で行われた質問は「回答者から見て、次の国は世界にポジティブな(良い)影響を与えているか、それともネガティブ(悪い)影響を与えているか」とのもの。二者択一だが、それ以外に問い合わせ時には列挙しない形で「ケースバイケース」「どちらとも言えない」「回答拒否」などを意味する「中庸その他」の選択肢が存在しうる。
そして次に示すのは、回答国と対象国が一致したものに付き値を抽出し、さらに自画自賛度(「良い」から「悪い」を引く)を算出したもの。例えば日本は「良い」50%、「悪い」6%、「中庸その他」が44%とあるので、日本国内に住む人は日本自身について、世界によい影響を及ぼしていると考えている人がほぼ半数、判断がつきかねる人が4割強、悪い影響を与えていると考えている人が1割足らず、自画自賛度は50-6=44%ということになる。
最大の自画自賛度を誇るのは中国。85%の人が自国は良い影響を世界に与えていると考えている。否定的意見は7%しかない。ほぼ同じ肯定的意見を持つカナダも否定派は1割を超えており、断トツの自己評価の高さがうかがえる。元々の中華思想的な要素も多分にあるのだろう。
中庸派が17%とやや多めだがロシアも中国の状況に近い。算出した自画自賛度ではむしろカナダより高い値を示している。中国と並び自画自賛の度合いが大きいとのイメージのある韓国だが、肯定派は68%に留まり、否定派が26%と高めの値を示している。その結果、自画自賛度は低め。そしてほぼ同じ構造をアメリカ合衆国も計上しているのが興味深い。
否定派の意見だけで見ればパキスタンが一番多く29%、ついでアメリカ合衆国の27%、韓国の26%と続く。パキスタンは中庸派も多いことから意見が集約しきれていない感はあるが、アメリカと韓国ではほぼ世論が二分され、一応自国の影響に対する肯定派が多数を示している。
日本はといえば上にある通り肯定派が5割、否定派は6%足らず。そして何より中庸派が44%と一番の高値を示している。他の国際的な調査でもよく見られる傾向だが、社会や宗教、政治的な話、とりわけ自国の評価に関しては、日本は曖昧な回答を好む傾向が強い。今件もそれに従った結果といえる。
日本から見た他国への評価は?
次に示すのは日本から見た、それぞれの国が世界へどのような影響を与えているかの評価。例えばインドが肯定34%、否定9%、中庸57%とあるので、日本人の1/3強はインドが世界に良い影響を与えると考え、悪い影響と考えているのは1割足らずに留まる、そして6割近くは回答留保的な立場にある事を意味する。
日本自身はともかく諸外国の多くは肯定的な意見が3割から5割ほど、否定的意見はほとんど無く、5割前後は意見留保・中庸的なポジションを取っている。いかにも日本的な動きではある。ただしロシアや韓国、イラン、イスラエルなど、日本と敵対するような動きを見せていたり、戦時下にあるような国の場合は、世界にネガティブな影響を与えるとの判断を下している。
特に中国と北朝鮮への否定感は強く、この2国には例外的に「中庸その他」の回答率も低い。両国に対し日本が感じている「世界に与える影響の悪さ」はそこまで深刻なもの、ということなのだろう。
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