夫婦世帯の平均雑誌購入額は月100円足らず
インターネットの普及や価値観の変化、書店の相次ぐ閉店など市場縮小感を覚えさせる話が相次ぎ、また実態感を覚えさせる出版業界。その紙媒体の現状を推し量れる数字「平均的な一般世帯が雑誌などに費やす月当たりの金額」を、総務省統計局の家計調査報告から確認する。
次に示すのは2015年1月分における、二人以上世帯の紙媒体に関する消費性向。単身世帯は雑誌に対する消費スタイルが大きく異なるので今回は取り上げない。また一人あたりの数字に関して新聞を除外したのは、通常世帯・月単位で購読することから、一人あたりの数字を出しても意味を持たないため。
「購入世帯数」は純粋に購入者が一人でも居た世帯の割合。1世帯内で複数の人が購入していても、購入世帯としては1件となる。世帯購入頻度」は世帯単位での月あたり購入頻度。例えば1月中に誰かが2回雑誌を購入すれば、その世帯の購入頻度は200%になる。非購入世帯も含めての計算であることに注意が必要。
このデータを基にした現状は次のように読み取れる。いずれも一か月あたりの話。
・「世帯購入ルートで」一人も新聞を読んでいない(二人以上の)世帯は3割以上。
・雑誌や週刊誌を一人も購入しない世帯は約4/5。購入する人がいる世帯は、月2回近く買い求めている(34.0÷19.4≒1.75)。
・一人当たりの週刊誌や雑誌購入金額は87円09銭。通常の週刊誌は200円後半から300円はするので(例えば週刊少年サンデーは税込270円・週刊少年マガジンは税込260円)、平均して月に1冊も買われていない計算になる。4か月でも1冊強。世帯レベル(二人以上世帯の世帯平均構成員数は3.02人)で計算しても、ようやく1冊/月程度。
新聞は月ベースで契約し配達してもらう以外に、駅売りなどで時々購入している場合もある。その購入スタイルは家計には把握・算出されない場合が多い。そのため「新聞購入」との実情では、もう少し上乗せされることになる。
今件値を確認すると、雑誌の購入額・頻度の少なさに、あらためて驚かされる。仮に週刊誌を1誌、毎週購入したとすれば、1か月で1000円程度(上記の週刊少年マガジンを購入したとして、260×4=1040円)。週刊誌を定期購入している人が1人いれば、その人に連動する形で10.5人の「1か月間雑誌や週刊誌は何も買わない」がいて、ようやく平均値に達する計算になる。
今件は二人以上世帯のみの話で、趣味趣向への購入性向が高い単身世帯では、もう少し上乗せした値になる。しかし世帯全体において多分を占める二人以上世帯の実情としては、目をそらしたくなる現実に違いない。
■関連記事: