実は日本と大きな違いは無い米国の初婚年齢
日本の少子化の一因として挙げられる晩婚化。公衆衛生環境の整備、社会資本の充実、価値観、特に男女観の変化、労働市場の変容などさまざまな理由が挙げられているが、晩婚化が進めば、出産可能機会はそれだけ減り、結果として少子化を後押しすることになる。先進国の中では出生率が高いことで知られるアメリカ合衆国では、初婚年齢はいかなる動向を示しているのだろうか。同国の国勢調査局による公開データから、その実情を確認していく。
厚生労働省の人口動態統計によると、日本の直近における平均初婚年齢は2013年時点で夫が30.9歳、妻が29.3歳。大よそ年齢は底上げし、晩婚化が進んでいることが分かる。
その人口動態統計の添付資料によると、アメリカ合衆国はイギリスやフランス、スウェーデンなどと並び先進諸国の中では高い合計特殊出生率(一人の女性が一生のうちに出産する子供の平均数)を示していることでも注目されている。
それではアメリカ合衆国における平均初婚年齢は日本よりも低い状態なのだろうか……ということで国勢調査局で調べた結果が次のグラフ。
もっとも古い1890年時点では男性26.1歳、女性は22.0歳が平均初婚年齢。太平洋戦争後まで平均初婚年齢は低下を続け、男性は1959年に22.5歳、女性は1956年に20.1歳をつける。この値が最年少値。
その後少しずつ上昇傾向に移るが、1970年以降は上昇カーブが急こう配となる。この時期には経済的な成長に加え、いわゆる女性解放運動が起きており、これも初婚年齢の上昇に寄与したと考えるのが妥当。その後前世紀末から今世紀初頭にかけて一時上昇は止まるかに見えたが、再び上昇を再開。直近の2014年では男性29.3歳、女性27.0歳となっている。
上記の通り、日本は2013年の時点で男性30.9歳、女性で29.3歳。日本の初婚年齢の高さに驚く人は多いが、実のところアメリカでも1~2歳程度しか差が無いことになる。今後日本同様に、アメリカ合衆国の平均初婚年齢は上昇していく可能性が高い。初婚年齢が底上げされれば、それだけ出産機会が減少しうる。日本と比べれば婚外子出生率が極めて高いため、連動性は日本ほどではないが、同国の人口増減に大きな影響を与えることから、注視すべき値であることに違いはあるまい。
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